農家経営分析診断・コンサルの取り組みについて(福岡)

11月18日(水)JA福岡中央会主催の「担い手支援担当者研修会」で講師を務めました。当研修会は各回2日づつ行われる年4回のJA担い手担当者向けの研修会であり、最後の一コマ(1日)を標記の内容で当研究所が実施することとなりました。参加者は県内JAから約30名、県普及指導センターから9名の参加がありました。

DSC_0027九州地区のJAグループは、全国的にも農家の経営支援事業が進んでいる地域であり、JA福岡グループも例外ではありません。
事前に頂いた、中央会が作成した業務マニュアルはかなりの高い精度で農業経営管理支援の内容が記載されており、県中央会や県域の力の入れ方が非常に伝わってきました。
以上のことから当研究所の力も試される場と考え、身を引き締めて臨みました。

【研修内容】
1.農業経営管理支援事業の実践課題
〇経営支援を実践している架空JAの事例検討
2.農業経営管理支援とJAの経営
〇経営支援のJAへの事業効果
〇金融部門との関わり
3.農業経営管理支援事業のよくある落とし穴fukuoka1
〇経営比率について
〇情報のオーバーロード
4.農業経営管理支援の全体像
〇経営コンサルと分析の違い
〇記帳代行の必要性
5.経営支援の進め方
〇経営目的と経営目標
〇経営分析の進め方と演習

以上、当研究所の”鉄板コンテンツ”ではありましたが、参加者の皆さんは非常に集中して受講してもらい、講師としてもあっという間の時間でした。この研修が、福岡のJA職員の現場に少しでも役立ってたら幸いです。

【アンケート結果】
〇大変良かった51%、良かった48%、いまいち1%、悪い0%

ー研修の内容についてー
〇その場で考えて、解答を導くといいうのは今まで初めてであり、こういう発想は良い提案だと思いました。
〇営農支援と経営支援との違いを認識した。
〇経営分析とコンサルの違いのところは大変良かった。
〇青申データ、確定申告データの分析が面白くなった。
〇知識が少ない中で、経営分析を行っている為、わからない部分が多いので、実際に農家の為になっているかが疑問であった。今回しっかりと研修を受け、参考になったので今後活かせたらと思います。
〇単に経営分析、個別診断をするのではなく、農家経営における目標、目的を持たせることが改善につながることだと思った。
〇個人情報の取り扱いが厳しく、データの取り扱いが難しいと思います。
〇経験年数が短い私でも解り易い講義だった。
〇今までとは違う視点で研修会を受けることができました
〇仕組みを覚えるといった研修ではなく、演習方式で実際に考えながらと言うやり方が良かった。
〇どこに視点をおいて見ていけばいいのか等、非常に解り易かった。
〇解り易い説明でした。
〇農業経営管理支援ということの大事さが解りました。
〇経営分析の目的が明確になった点と農協運営と農家経営の関連が明確になった点が良かった。
〇今回の研修を受講して、やっぱり今までの経営分析は無駄が多かったと感じた。もっとシステマチックに継続して取り組むことが大事だと強く思った。
〇人の意見を聴くことにより、自分の考えがいかに偏っているかが解ります。
〇コーチングの講師だけあって、講義の進め方や話し方は良かったと思います。
〇福岡は、普及指導員が経営分析ができるので、JAさんとは分担してできたらいいなと思います。
〇経営分析をお行う上で、農家の目的を問うことの必要性、改善案を自ら考える必要性があることが重要と気づかされた。
〇資料が55Pもありましたが、中身をもう少しカンケツな資料としてほしい。
〇解り易い説明だったが、今まで経営指導より生産指導を行ってきたため、自分のスキルアップして再度聞けばより理解できたと思う。
〇現場で役立つ経営分析の具体的なやり方が参考になりました。
〇以前、直売主体の少量多品目生産をされている専業農家の経営分析に非常に苦労した思い出があります(データがない)。
〇経営管理支援事業において、進め方等どうすればいいのか不明確なまま、分析表を配布するだけになっていたが、今回細かく学べて様々な方法や注意すべき点を学べてよかった。
〇1日ということもあり、理解が不十分な点もあったので、そこが残念だった。
〇かなり実践的な研修で解り易かった(実務者目線)
〇明日からでもすぐに役立ちます。若手の普及指導員にもこの研修を受けてもらいたい。
〇所得目標を設定する場合の考え方やデータ比較の方法、経営コンサルのフローなど、今実施している方法と同じだったので、自信を持って今後も行っていこうと思いました。
〇農家に解り易い経営指導を行う上で、大変参考になりました。ありがとうございました。
〇通常の研修と違い演習をやり、その解説をする。受け身ではなく考えさせる研修会で良かったと思います。
〇経営管理支援がJA業務の中でなぜ必要なのかと考えさせる内容が新鮮でよかった。
〇ディスカッション形式は苦手ですが、今回は内容が良かったと思います。時間があればいろんな発表が聞けたらと思います。
〇単に経営分析手法を説明するのではなく、具体的な事例の解説や演習が交わされていましたので、理解しやすかったです。
〇経営分析と経営コンサルの部分で混同しているところがあり、今回の研修を参考に経営分析に取り組みたいと思います。
〇青色申告会の全体研修の講師にお願いしたいです。
〇最初に研修のポイント(覚えることよりも考える機会)を話されたので、聞く際も考えることができて良かった。
〇最後は駆け足ですすんだため、テキストのどの部分を話されているのかわからないところが少しあった。

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ー経営支援事業の取り組みについてー
〇上層部も内容をよく理解し、それなりの人員体制の配置をやってほしい。自分の努力も必要
〇品目転換を進めるうえで、どういう方法で行ったがいいか。
〇高齢で後継者がいないところをどうするか。
〇個人別の作付変更は、部会全体でみると時期別の出荷量が安定しないので販売がしにくい(市場外流通が多くなっているため)。
〇コンサルの対象は誰か?(不良債権の処理だけではもったいない)
〇農家本人の経営改善意欲が薄いと、経営分析を行っても効果が小さいように感じる。そのため、未収金があるからという理由だけではなく、経営改善意欲の有無も含めて、対象者の選定を行てもらうといい。
〇支援体制をJAとして整備して、重要の課題としてとらえ、事業計画の内容に織り交ぜて進めていく必要があると思う。
〇記帳代行を行っていない。必要性はあるはずだが体制としてない。
〇経営改善を求められる場合は、栽培や方針に問題がある場合が少なく、農家の私生活に問題があることが多いように思います。手遅れになった農家の向上は不可能に近く、離農を進めるしかない場合が多くなっています。
〇事業部間の調整。会議をしても押し付け合いしかならない。
〇当JAの課題は、テキストP3の演習問題そのものです。本日の研修内容を整理し、業務に活用できるようにします。
〇役職員達のやる気と頭の固さ。
〇まずはJAともっと連携を取らなければならない。今日のような講義をもっと多くの職員に聞いてもらいたい。(普及C)
〇給料をもらっている人間と、自ら収入を得るために稼いでいる人間の違いが問題。農業者のための事業or農業者を利用した農協のための事業なのかというジレンマがある。
〇日々の業務を優先しているため、新たな業務遂行に抵抗がある。
〇経営コンサルは、兼務で行っている場合が多く、主担当業務の合間で行っている人が多いので、やっつけ仕事になる。
〇JA青色申告会に入っていない農家が多く、仕訳も個々でやり方が異なる。簿記も知識が低いため、記帳データが経営実態と異なる農家が多いように感じます。経営は難しいと避ける傾向にあるので、それを改善したい。
〇課題は色々あると思いますが、支援事業はJAにとって当然取り組まなくてはならない事なので、積極的にやっていきたいと思います。
〇部門連携、目的意識の共有化。職員意識の向上。
〇本日受講した研修のように、経営管理支援の重要性や具体的な手法を学ぶ場が少ない。また複数人で結果を検証する場もなく、分析⇒フィードバックも担当者まかせになっている。
〇先生が何度も話されたが、所内で勉強会を行い意識を共有化することが大事に思う。

 

福岡で行う研修は初めてでしたが、皆さんのお力になれたら幸いです。

最後になりましたが、事務局を務めてくださったJA福岡中央会の村上次長、中島次席、井上様、柴崎様、川原田様、大変お世話になりました。またお呼びいただけたら幸いです。
どうもありがとうございました。