農家経営分析診断・コンサル担当者研修会-後期(長崎)

 

8月27・28日の両日、長崎市出島の長崎県JA会館で、JA長崎県中央会・長崎県農林部共同主催の「農家経営分析診断・コンサル担当者研修会(後期)」が開催されました。

参加者は、県内JA20名、県振興局13名となり、今回は昨年に続きJA福岡県中央会様からも1名参加していただきました。

前期は、定量的な数値による分析を中心に行いましたが、後期は定性的な要因を踏まえた研修となりました。

(グループ演習・発表)
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【研修の主な内容】
●前期のおさらい(農家経営支援とJA。事業の全体像。進め方等)。
●販売データを使った肥育農家の経営分析(損益関連図法)。

●経営分析は、個人に対してだけではなく、部会や集落全体の動向を対象とする分析がある(集団分析)。
●農家への経営分析書のフィードバック。
●フィードバックの基本手順(単なる帳票の説明ではなく、4つのフェーズを意識して進める)。
●農家にどのように伝えるか。正しければよいというものではなく、農家の感情に配慮したフィードバックが必要(コミュニケーションスキル)。
●実用的なコミュニケーション手法(コーチングスキル)。
●経営コンサルの概要。
●債権管理部門への理解と連携が大切。
●実務的には農家の定性情報が非常に重要。
●定性情報の分析手法(4C分析、なぜなぜ分析、親和図法、関連図法)。
●提案書の作成よりも、その後の行動支援の方が重要。
●計画変更は柔軟に対応し、卒業・撤退基準を明確にする。
●グループ討議によるケーススタディ(経営不振の園芸農家)。
●【補論】原因論と目的論。アドラー心理学から考える。
ほか

【参加者アンケート】
●6項目の総合集計:大変良かった41.8%、良かった53.4%、いまいち4.0%、悪い0.5%。
●コミュニケーションスキルはとても勉強になりました。
●(講師は)いつも笑顔で話をされているところが素晴らしい。
●経営支援は農家のためによりよい改善策やアドバイスをすることが大切だと思っていましたが、農家自らがやる気を持って主体的に営農していけるようサポートすることが重要であると学びました。
●最後のアドラー心理学のように、支援事業を忙しくてできないと思わずに、するという気持ちでやりたいと思います。
●経営支援の在り方、チーム編成、方針策定の方法等特に良かった。
●コミュニケーションスキル、個別経営支援(経営不振農家支援)は本当に参考になった。これまでなんとなく思っていたことが、文章や演習を通すことでよく理解することができた。
●(JAは)人員が減少し、業務が多様化する中で、連携強化や情報共有が謳われているが、充分に機能していない。
●「感情を動かす」が何よりも大切。
●(コンサルの)引き際、終わらせ方をもう少し触れてほしい。
●グループでの演習は、自分が気が付かない所が解って参考になりました。
●どの組織でもあてはまることだと思いますが、経営支援担当と言う役割は、技術担当に比べれば新しいので、上司も含めて仕事のやり方等に対して理解が得られないことも多いです。また上司に報告や相談をしても上司に経験がないので適切なアドバイスを受けにくく、悩み迷いながら業務にあたっています。ですが研修によって、日々の活動が間違っていなかったことおわかり、多少は不安が解消できました。
●経験を積むと専門性は高くなりますが、視野が狭くなります。経験が浅くて「出来ない」のは、仕方がないですが、経験があるからこそ「どうせできない」と思うことが、支援する側の課題かと。
●コーチングなど、コミュニケーションスキルについての話がとても参考になりました。実際に経営不振の農家との面談で意識してみたいです。
●もっと役員の方達にこの事業の大切さを知っていただき、環境を整えてもらいたい。
●演習等において、各班発表等されたことがメモが取れないことがあった。ホワイトボードも同様。演習の事例の参考事例等の回答例の配付があったらgood。
●いろんな方の話しが聞けて、非常に参考になる研修でした。
●最後の方は、時間の関係があり進むのが早かった。(残念でした)コミュニケーションスキルはもっと研修を受けたい!
●人・農地プランについて認定農業者はメリットをあまり感じておらず、集会も集まりにくい。
●経営分析の業務としての進め方で「農家へのフィードバック」手順が大変良かった。
●演習が多く、自分たちで実際の状況に合った対策を考える機会を設けてもらったので、理解しながら進めることができた。
●説明が解り易く、適度に例を挙げながら話されたので、頭に入ってきやすかった。
●(自分の組織は)人員削減がかかっているため、個々の農家の手厚い指導ができなくなっている。(事務作業が増加し、現場へもなかなか行けていない)
●木下先生が我々の意見や話を否定せず聴いてくれたことろは良かった。
●休憩がもう少しほしい。
●最後がバタバタとなり少し残念です。
●(JAの課題として)記帳代行の会員の増加。特に部会単位での加入を進め、分析データの精密性やデータの比較・対照が効果あるようにしてゆきたい。
●農家所得を上げるのが目標ではあるが、実際収量や販売高にばかり目が行きがちで、経費面があまり考えられていないように思う。また経営指導に携わったことのある職員がほとんどいないため、手法も解っていないのではないかと思う。なのでより多くの職員にこの研修に参加してほしい。
●もうしこし考えやすい決算データを出してほしい。
●日程の都合上、説明時間が短い部分があったので、あと1~2時間でも研修時間を伸ばしてほしい。

ほか。

(コミュニケーション演習)
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3回目になる今回も、皆さんのお役に少しでもたてたようで安心しています。特に、コミュニケーション研修は、事務局・参加者共に高い評価を頂きありがたく思っています。経営支援は、今まで経営比率など知識による定量分析が重視されていましたが、実際効果を発揮するのは、農家に主体性を引き出すような接し方、つまりコミュニケーション力だと年々実感しています。そしてこれは、農村だけでなくJAなどを含めた上司・部下、同僚間などの組織の中の人間関係にも通じることだと思われます。「他者を活かすためのコミュニケーション力」を、今後少しずつ広げていきたいと考えています。
いずれにしても、今回も無事研修が終えられたのも、事務局や参加者の皆さんの方のご協力の賜物だと思います。また今回は、前期・後期とも夜の懇親会がとても賑やかだったことが印象的です。JAの組織力・情報と県の知識・技能などがしっかり手を組めば、近い将来県内の破た農家ゼロ、も夢ではありません。

今後もさらに皆様のお役になれるよう研鑽をしていきますので、どうぞよろしくお願いします。
最後になりましたが、JA長崎中央会の楠本部長、山川部長、松浦係長、草野様、県農林部の鳥越課長補佐、岩間係長、西山主任技師、大変お世話になりました。毎年変わらぬご支持を頂き大変感謝しています。今後もどうぞよろしくお願いします。