農家経営分析診断・コンサル担当者研究会-後期-(長崎)

2020年11月4日(水)~6日(金)の3日間、標記の研修会がJA長崎県中央会と長崎県農林部と共催で開催され、講師を務めました。この研修は8月に開催された前期研修の続きで、参加者も前期の出席者中心に、県内JA18名、JA大分中央会1名、県7名の26名で開催しました。
今年はコンサルの内容を再構成し拡充して行いました。

 

 

 

 

 

 

【研修内容】
1.肥育農家の経営分析
2.集団データの分析
3.支援マインド2
4.個別経営支援(経営コンサル)

【アンケート結果】
1.肥育農家の経営分析
(大変良い54.2%、良い45.8%、普通0%、悪い0%、非常に悪い0%)
2.集団データの分析
(大変良い45.8%、良い50.0%、普通4.2%、悪い0%、非常に悪い0%)
3.支援マインド2
(大変良い52.2%、良い43.5%、普通4.3%、悪い0%、非常に悪い0%)
4.個別経営支援(経営コンサル)
(大変良い47.8%、良い52.2%、普通0%、悪い0%、非常に悪い0%)
5.総合評価
(大変良い52.2%、良い47.8%、普通0%、悪い0%、非常に悪い0%)

【研修について】
・経営分析の流れを学べたことはよかったが、肥育農家の分析をする際、畜産担当の人がいないと厳しいと思う。
・詳しい演習が多く、実践に近い形での研修のため、理解しやすい内容であった。
・グループトークが多くあり、いろいろな意見を聞けて良かった。
・演習の解答例(スライド)を配布してほしい。
・いちご、肥育農家の経営分析については、具体的事例で計算ができて良かった。特に、預託の現金化について理解できたのは良かった。できればいちご、肥育などの経営分析の時間をもっととっていただきたい。
・肥育農家の経営分析をする際に、自分にできるか不安であったが、語句の説明があったり、先生の詳しい説明があったため、イメージしやすかった。また、考える力も身についた。
・JA指導員とワークショップでき、ワールドカフェ形式での研修が良かった。ただし、グループの構成により効果が大きくブレるところは課題。
・コンサルのやり方が分かった。
・様々な分野の目線や意見を聞けたことが良かった。また、経営分析を行うことは問題や課題を細分化して見える化することからはじまるということが良く分かった。
・調査、分析をすることによりJA側のデータを基にしたり、県からのデータを参考にしたり農家側に負担があまりかからないようにアドバイス、支援するということを学べた。
・あまり経験がなかったが、わかりやすい研修でよかった。
・初めてで難しかったが、勉強になった。
・経営コンサルの重要性を改めて知った。自分の今まで関わったことのない分野の経営分析をすることができてとても楽しかった。仮説を立てるのは、頭でわかっていても伝えるのが難しかった。
・経営支援とは縁がないと思っていたが、やってみて身近に感じた。
・演習、グループ協議が多く、他の意見も聞けて良かった。
・内容自体が正直初めてであったので、全てが勉強になった。仮に人事異動などで何か携わることがあれば渉外にも伝えたい。
・農家と密で係わる職場にいる中で、農家とどのような話をすればよいかわからなくなっていた所での今回の研修であった。そのため、人とのコミュニケーションの取り方、話の聴き方等を教わることができ良かった。今後の業務に生かして行きたい。
・あまり携わることがないことを学べてよかった。
・考える演習が多くてよかった。プロジェクターの文字が小さくて、後ろの席からよく見えなかった。
・参加者の多くが「~について考えよう」という演習に対して、今までの経験に基づいた結論を出して、議論にならなかったのが、残念であった。
・いろんな職場の方と共通の演習を行うことで、様々な知識、着眼点を見ることができ面白かった。
・班で話し合うことが多く、他者の考え方を聞くことができてよかった。自分は果樹担当であるが、他品目の例をもとにして演習だったので、他品目の考え方などを知ることができ良かった。品目が違っても参考にできる良い点が多くあった。
・仮説を立てることの難しさ。仮説にもいろいろなパターンがあること。どうしてもJA目線になってしまうこと。最終的には農家本人のやる気にかかっている。

 

 

 

 

 

 

【農業経営管理支援事業を進める上での課題について】
・人手不足。
・JAも県も技術や営農担当、金融担当との連携が十分でない。いちごの面談でも単価×単収=売上と技術に対するアプローチしかなく片手落ちの感がある。
・予算がない。上司の認識がマチマチ(大切とみる人もいれば軽んじる人もいる)。継続性のためには、対象の選択と集中必要だが、公平性ということで対象を絞りにくい。
・一部の地域でしか実施していない。
・経営層の経営コンサルへの理解。他事業の協力体制(連携が取れていない)。
・情報の共有をもっとして他の意見を聞くこと。
・支援事業担当者をころころ変えないようにすべきだと思う。
・営農指導に求められているのは、主に技術面が8~9割で残りが経営面(コンサル的な)かと思う。過去よりそういった流れだった部分が大きすぎて今回のような勉強が必要だと思う。正直、現場ではなかなか厳しい部分もあるのは事実。あと、経営者(役員)の思いとのギャップが多々あるかと(総合事業的な面や短期的な目の前の収益に固執する経営が軌道にのるには年数がかかるが長期的にみられないなど)。JA経営がかたむきつつある事も一つの理由かと。営農指導関係が常に赤字であることにスポットが当たっているため。
・経営コンサルを実施している農家は圧倒的に少ないので、信頼される関係性を築いて農家との距離を縮めて行わなければいけないと思う。
・団体や地域の目標を達成することよりも、いかに農家のためになる支援を優先させるかが必要。支援マインドを団体の一人一人に浸透させる。継続的なフォロアップ。
・事務作業の多忙化。
・JAの営農指導員の事務が多忙であり、うまく連携できていない。JA、振興局でも横の連携が不足しているように感じる。

 

コロナ禍で始まった今年度ですが、長崎での前・後期6日間の研修会が例年通りできたことに心より安堵しています。
これも、様々な感染防止対策を講じてくれたJA長崎県中央会の事務局のお陰だと思います。
松浦部長、朝長次長、そして研修準備から最後までしっかり対応してくださった福田様、大変お世話になりました。
今後も、どうぞよろしくお願いします。