農家経営分析診断・コンサル担当者研究会-前期-(長崎)

2020年8月19日~21日の3日間、表記の研修会が長崎のJA会館で開催され講師を務めました。毎年7月に行われている前期研修ですが、コロナ禍のため毎年後期を行っているこの時期にずれ込みました。主催はJA長崎県中央会と長崎県農林部、参加は県内JA職員18名、県振興局7名の合計25名となりました。

今年はコロナ禍のため、事務局のほうで以下のような対策をとり研修を進めました。
・いつもより研修会場を広くし、受講者同士の机の間隔もいつもより大きく取る
・会場の入り口を一つ常時解放し、休憩時間ごとに適時喚起をしながら進める
・会場入り口に消毒液を設置
・マスク・フェイスガードを会場に用意し、受講者が自由にもらえる。
・講師にPCR検査の事前検査を義務化(費用は主宰者負担)

事務局の皆様大変お疲れ様でした。

【研修内容】
1.支援マインド
2.農業経営支援の実務
3.経営分析演習
4.農業経営管理支援の全体像
5.事業と生活の計画
6.コミュニケーションスキル
7.経営分析のフィードバック

【アンケート結果】
1.支援マインド
(大変良かった54.2%、良かった37.5%、普 通4.2%、いまいち4.2%、悪かった0%)
2.農業経営支援の実務
(大変良かった45.8%、良かった54.2%、普 通0%、いまいち0%、悪かった0%)
3.経営分析演習
(大変良かった45.8%、良かった41.7%、普 通4.2%、いまいち4.2%、悪かった0%)
4.農業経営管理支援の全体像
(大変良かった41.7%、良かった54.2%、普 通0%、いまいち4.2%、悪かった0%)
5.事業と生活の計画
(大変良かった41.7%、良かった54.2%、普 通4.2%、いまいち0%、悪かった0%)
6.コミュニケーションスキル
(大変良かった47.8%、良かった47.8%、普 通8.7%、いまいち0%、悪かった0%)
7.経営分析のフィードバック
(大変良かった59.1%、良かった40.9%、普 通0%、いまいち0%、悪かった0%)
8.総合評価
(大変良かった42.9%、良かった57.1%、普 通0%、いまいち0%、悪かった0%)

 

 

 

 

【研修の内容について】
・自分の家も農家だから大変勉強になった。今回の研修をいかすことができれば、とても良いかと思う。カリキュラムを順調に進めるためとは思うが、ストップウオッチは焦った(ただし、時間をきっているので良いかと)
・経営分析について、あまり理解していなかったが、講師の説明が分かりやすく進め方や方法について分かった。しかし、演習をすると全く実践ができず苦戦した。これからデータの見方等を慣れていくしかないと思った。
・いろいろなスキルがあると知って、今後生かせたらいいなと思った。グループペアなど他人の意見を聞けて良かった。
・最終的には農家さん(経営者)が決めること。それに伴い手助けを行うのが経営支援。農家さんが不振になった時は、前向きに考え一緒に向き合うこと。自分の意思を押し付けないことなどなど。
・農家さんの現状を分析して仮説を立ててあげることや支援のためにはまず、目的・目標をもってもらうことの大切さを知った。農家さん自身、何が問題になっているのかを考えてもらえるようコミュニケーションをとっていけたらと思う。
・グループワーク等があり、多くの人の意見が聞けて良かった。
・講師の説明、進め方がものすごく参考になった。コミュニケーションのレベルアップができたかなと思う。
・経営分析の全体の流れが分かって良かった。
・農家さんとの話し方についても今まで自分が思っていたこととは違い、どんどん質問することで相手が話しやすくなる状況をつくっていきたい。
・経営分析のところで比較・分析をしたり、目標シートを作成するところでは、資産や費用の科目がどれなのか、わからないところが多く、作成するのに苦戦した。
・演習が多く、身に入りやすい研修だった。これから農家を見る目、接し方が変わるだろうと感じた。
・経営分析演習は大変難しかった。農家に対しての経営分析説明は勉強になった。コミュニケーションスキルはなかなか、難しいと思った。
・専従者給与について説明を追加していただき勉強になった。できればもう少し、詳しく聞きたかった。
・生産者の経営状況を見る際は(反収、総収益)で見るだけではなく、どのくらいの費用がかかって、純利益力がどのくらい残っているかまでを見ないといけないと感じた。
・JAの若手、中堅、課長レベルと意識の共有ができた。コミュニケーションの演習ができた。
・分析とライフプランはもっとふかほりしたかった(役割や業務年数に応じた内容)。
・現場でも使えるようなことがあったので良かった。
・経営分析研修ということで、ついていけるか不安だったが、内容はわかりやすく、活かせる内容が多かったので、非常にためになった。経営分析といっても、いかに農家が感じている色々なことを引き出すことが大切だと感じた。コミュニケーションスキルは普段にも活かせることが多く、仕事をするうえで、また家族と接する時にも活用したい。
・冒頭に「支援マインド」について説明があったのは良かった。農家さんへ「提案」することに重きを置いていたが、「聴く」こと「引き出す」ことに注力していきたい。演習を多くしてくれたので、その都度、コツがつかめた気がした。
・経営支援については、何も考えていなかったので、すごく良かった。農家だけでなく自分自身に置き換えることができるので、自分で自分に目標・目的について自問自答していきたいと思った。
・一方的な受け身の座学でなく、個人演習やグループワークで考えることが多かったので、実践的で勉強になった。
・農家とのコミュニケーションをとる時のコツが学べたので良かった。今回学んだ事は、農家相手だけでなく、日常生活においても使えると思うので、積極的に取り込んでいきたいと思った。
・経営分析について全く知らなかったので、その全体像を知れて良かった。
・客観的に相手に寄り添った支援、分析を学べた。視点を変えて見、考えることが分かった。

 


【JA・団体の事業推進上の課題】
・情報共有の少なさ。
・データの羅列ではなく、シンプルでわかりやすい経営分析をいかに継続して行うことができるか。農家の実態や考えをいかに引き出せるか。
・縦割り、業務が属人的。
・技術的指導はできているが、農家の経営まで見てアドバイスができていない。横の連携が取れていないように感じる。一人で抱え込んで仕事がうまく回っていないこともある。品目により経営支援に差があるように感じる。
・一部の地区だけが行っているので、農協全体で行うといいと思う。
・目的が共有されていない。定型化されておらず、負担感を大きく感じている。
・本当に農家のために経営支援をしているのか(購買未収金の返済)、疑問である。経営に厳しい農家を本当に助けているのか。担保融資はどうなのか。本当に再建することができるのか。
・もっと親身になって接する。農家と対面して話す時間を多く設ける。
・研修不足と人手不足。
・情報交換が不足。
・情報共有の大切さ。
・所属の上司の中には、農業経営分析の仕事は、分析をしたうえで改善策を提案すること(指導機関が主体となって作製)と思っている人がいる。今回の研修で改善案は最終的には農家が決めることであることを学んだので、所属の中でも今回の研修内容を共有して現場で活かしていきたい。
・研修に管理職の方々が参加して今何が必要なのか?その部分からしっかりとおさえておく必要があり、担当者に押し付けるのではなく、何人かのチーム体制で継続してすることに意味があると思う。担当部署を作って結果が出なかったらつぶすのでなく、とりあえず何年か続ける必要がある・・・。あとは適任者を上席者の方が観察し、選んで配置すべきだと思う。
・現在も営農畜産側で、支援対策(記帳など)を行っているようだが、正直資材関係のみの少しのかかわりの為、実態はよく分からない(経営分析を部会単位では行っている)。又、今回のようなカタチがどうかとも分からないので、今回の研修みたいなカタチが本来かなと考える。ただ、指導と関係職員ができるかは微妙です。
・いま、自分がやっている仕事が経営支援をするうえで重要だと分かった。これからは、農家さんと話をしながらより良い信頼関係を築いていきたい。

 

今回はコロナ禍の中での実施となりましたが、冒頭にも記したように事務局の万全の準備もあり、混乱なく終えることができました。
但し、懇親会などは開くことができず、参加者からは”後期は是非”との声もありました。
時勢柄いつもより事務局の方も大変でしょうが、11月開催予定の後期も、どうぞよろしくお願いいたします。