担い手支援担当者等研修会 経営管理実務コース(福岡)

2020年9月24日~25日の二日間、表記の研修会がJA福岡中央会の主催で開催され、講師を務めさせていただきました。
参加者は、県内6JAから9名、県普及センター11名の合計20名で、会場は筑紫野市のJA福岡教育センターでした。

 

 

 

 

 

コロナ禍の中での開催となり、事務局の方でも様々な備品を用意して対応していただきました。おかげで講師だけでなく受講者もより安心して受講ができたと思われます。

 

 

 

 

 

 

【内容】
1.支援マインド
2.農業経営支援の実務
3.経営分析演習
4.農業経営管理支援の全体像
5.事業と生活の計画
6.経営分析のフィードバック

【アンケート結果】
1.支援マインド
(大変良かった75%、良かった25%、普通0%、いまいち0%、悪かった0%)
2.農業経営支援の実務
(大変良かった70%、良かった30%、普通0%、いまいち0%、悪かった0%)
3.経営分析演習
大変良かった85%、良かった15%、普通0%、いまいち0%、悪かった0%)
4.農業経営管理支援の全体像
(大変良かった66.7%、良かった33.3%、普通0%、いまいち0%、悪かった0%)
5.事業と生活の計画
(大変良かった72.2%、良かった27.8%、普通0%、いまいち0%、悪かった0%)
6.経営分析のフィードバック
(大変良かった58.8%、良かった41.2%、普通0%、いまいち0%、悪かった0%)
7.総合評価
(大変良かった80%、良かった20%、普通0%、いまいち0%、悪かった0%)

 

 
【研修について】 
・今まで一方的な提案をすることが多かったが、経営の主役は農家であり、主体的に動いてもらうためにどうするかといった心構えを学ぶことができて良かったです。分析結果についても、ただ数字をまとめるだけでなく、それぞれ結びついて仮説を立て、提示し、農家から考えを引き出すことが重要だと分かりました。 
・膨大な情報から分析するポイントや手順を実践することで実感がわいた。分析はあくまで仮説を立てるまでで止め、農家がそれをどうとらえ、感じてもらうかが大事である。農家の意見・考え方を引き出す質問方法を学べたので参考になった。
・経営分析とはもっと難しいものと思っていたが、気負い過ぎなくてよいということが分かった。また農家本人が答えをもっていて、それを引き出すためにどのような質問をすればよいか学べたところが良かった。もっと話の聞き出し方、コーチングの仕方についても学びたかった。 
・新しい知識を身につけられるとても良い研修でした。3日間かかる予定の研修なのであれば、やはり3日間通して受講したい。 
・経営分析は現状の仮説を立てることが大事であることがわかりましたし、今まで自分がしていたのは、現状を読み上げていただけだったと気づくことができました。普段は自分の考えを農家に伝えることの方が多いので、農家の考えを引き出させるような質問・会話を心がけたいと思いました。 
・演習がありわかりやすかった。ペアになっての演習も、より実践的で理解が深まった。コミュニケーションスキルの勉強もできればよかった。 
・今まで農家の経営支援で改善提案を行ってきたが、あまり上手くいかなかった要因が農家の意思を尊重できておらず、一方的な提案になっていたことにあると分かり、今後の支援の在り方を考える機会となった。経営支援業務では、あくまで主体性は農家にあり、支援者は農家自身に経営状態を意識してもらい、自身で目標を設定する手助けをするものという考え方を今まであまりしていなかったため、自分の業務のやり方を痛感した。今後 、反省を活かしたい。 
・テキストの内容、講義内容も非常にわかりやすく、演習で実際に経営分析も体験でき、良い機会になりました。経営支援の進め方もよく理解できましたが、現状業務で行っている手法がそれに沿っていない場合もあり、この研修は経営支援事業、施策を考案する業務に携わる人が受講するとより効果的だと思いました。 
・農家への経営分析支援の入り口と出口の考え方が参考になりました。
・経営分析とコンサルを混同していたため、悩んでいた部分が多かったということに気づけたことが良かった。 
・勉強になることが多かった分、時間が足りなくて、先生が早口にならざるを得なかったことが残念でした。3日間コースが良いと思います(理解が追い付かなかった)。 
・以前の部署では営農技術・販売支援が主で、経営支援というものが何を指すのか全然わからなかったので、具体的に支援の内容とそれを成功させるためのアドバイスを学ぶことができて良かった。 
・グループワークで自分が思いつかなかった意見、考え方が沢山でホント勉強になりました。ただシートのせいでなかなか聞き取りにくい部分がありました。また2日でしたので、少し時間がたりなかったと思います。 
・全体的に急ぎ足だった印象。分析の内容だけでなく、フィードバックて手順もあり、わかりやすかった。あくまで農家本人の意見を尊重する支援であることを改めてりかいした。支援であり指導にならないよう注意・意識したい。 
・経営分析というのは難しい指標を使って説明する必要はなく、今ある資料を使って現状を分析して、現状の仮説を立てて農家と話をすることが効果が高い、ということが理解できてよかった。 
・時間が少ないとのことだったので、ゆっくり聞きたかったです。 
・分析の方法が分かったので、分析結果を通知し反応を受けてさらに話し合いの場を活発にしたい。園芸主体の話なので、普通作に対応・応用できないものが多い。 
・記帳代行をしていたが、データを見比べたり経営支援に活用したりできていなかったので、これからは経営分析をしていきます。 
・実際に経営分析を演習し、グループで話し合うことで、分析の仕方を学ぶことができた。実際の値を使うことで練習になった。 
・特別な専門知識がなくても、今回の研修手法を生かせれば経営分析ができると分かったことが良かったです。 
   

【職場の課題】 
・記帳代行・経営分析・経営コンサルを行う目的を職員で共有することが重要だと思います。また、心構えや方向性などもバラつきがない様に、事前研修などが必要ではないかと思います。スムーズにあまりコストがかからない様に進めるために、何のためを大事にし、連携する関係機関への理解も深めることが重要だと思います。 
・これまでやってきた指導は、営農(技術)支援に偏っており、経営支援ではなかったと気づかされた。また、一方的な分析結果のおしつけにならないよう農家の意見や考えを聞き出す能力も必要だと感じた。データの収集上、JAとの協力は不可欠。普段から情報共有や農家への支援体制の強化が必要。 
・分析の負担が大きいと思い込んでいる。経営と営農の担当が異なること。 
・総合事業でいるにもかからわらず、タテの繋がり、上下関係は強いくせに、ヨコのつながり(営農⇔金融)が弱い。持っている情報をできるだけ開示することができればよりよく経営支援を進めることができると思う。 
・前向きの経営支援の場面が少ない。 
・法人等組織支援を行う際、構成員間で組織運営に対する考え方が異なるため、経営支援が難しいことがある。組合長や役員に働きかけて、自分の意志で目標を設定してもらっても、他の合意が得られず、うまく進まないことが多い。構成員全体に働きかけると効率が悪いため、組織内で解決できるよう支援するしかないと思うが、なかなかうまくいかないのが課題としてある。 
・コストのかかる「経営コンサル」ばかりに重点を置いており、広く「面」で支援するという「経営分析業務」が行えていない(あるいは「経営コンサル」を「経営分析業務」と混同している人がい多い)。JAの記帳代行業務と行政の経営支援が連携できていない。 
・経営支援対象が「以前からの継続」になっている場合、(決算書を見せてくれる)も多く、現在も経営支援を求めているとは限らないケースがある。JAと連携して部会単位等での取り組みを増やせばと思います。 
・現在は、青色申告に携わる部署とは仕事上の接点があまりないので、決算書を使っての経営分析を業務の中に取り入れていきたい(訪問時の会話の話題に取り入れるなど)。研修の中でもあったが、経営支援という時間や労力のかかる割に利益がないというイメージを持っている職員が多い。簡単なところ(訪問時の情報収集など)からやっていきたい。 
・まさしく部会担当や申告担当との連携ができていないのが問題です。なのでその連携ができたらデータも簡単にそろうので分析しやすくなると思います。 
・管内に新規就農者が増えている一方で、経営分析フォローが弱く、経営的に厳しい農家が少数ですがいらっしゃる状態。収量への意識が強く、経費等への意識が浅い方が多い印象。 
・青色申告会で記帳代行している農家には、自分で記帳すればいいのにと思っていたが、JAとしては経営把握するための第一歩ということが理解できた。普及センターでソリマチ農業簿記のパソコン簿記指導を行っているが、JAと普及センターで情報の共有(個人情報はふせて)ができるといいのではないかと思った。 
・効果が数値で出にくい分、他の業務と比べて評価されずらい(されない)と思います。
・事例の積み重ね。 
・経営支援の事業を担当課だけで動いているので、各課の協力体制の強化をしなければいけないと思います。 
・経営状況を知る際に、具体的な数値を教えてもらうまでのコミュニケーション能力。 
・経営分析と課題の掘り起こしを行い、農家も課題について理解しているが、課題に対する具体的な提案に至っていないこともある。特に、高齢化による今後の事業継承について(後継者がいない)。雇用労力を確保したいが、その方法が明確になっていない、以上の二つが多い気がします。 

 

コロナ禍の中、多くの受講者に集まっていただだくことができましたが、これも事務局の重松次長、小山様をはじめJA中央会の様々な感染防止対策のお陰だと思います。あらためてお礼申し上げます。
今後もどうぞよろしくお願します。