農業経営分析の基礎(福島)

平成29年5月16日(火)17日(水)の二日間、JA福島中央会主催で標記の研修会が開催された。

標記の研修は「農業経営分析・課題解決支援研修会」として年間3つのユニットのうちの最初のものと位置づけられて行われた。参加者は22名は、人材育成プログラム全体の受講生であるので、基本的に年間を通じてすべてのユニットに参加することとなる。

【内容】
1.概論 
(1)営農支援と経営支援
(2)情報オーバーロード
(3)農家の経営を改善するためには 
2.決算書の読み方 
(1)決算書の基本
(2)損益計算書(P/L)
(3)貸借対照表(B/S)
(4)剰余金処分案
(5)貸借対照表と損益計算書の関係
3.管理会計手法の活用 
(1)経営比率 
(2)損益分岐点分析(CVP 分析)
(3)経営比率と損益分岐点分析の実務上の問題 
補論.農家の構成とセグメント
4.経営支援の進め方
(1)経営分析と経営コンサル 
(2)分析思考の基礎 
(3)経営分析の進め方 
(4)経営分析の実演 
5.経営分析演習 
補講.農業経営管理支援の全体像 
(1)事業の全体像
(2)記帳代行と経営分析
(3)経営分析実施の5 つのポイント

【参加者のアンケート】
≪総合≫
大変良かった(40.3% )、良かった(45.2%)、 普通(12.1%)、 いまいち(2.4%)、 悪かった(0.0%)。

≪良かった点・悪かった点≫
・実習が多いので分りやすかった。限られた時間で出来ること事の最大を行っていただいたように感じた 。
・現在、JAふくしま未来では、農家の所得10%UPに向けて、個々の農家のアッププランを作るよう言われていますが、今回の研修を受講して、計画を作成する前に分析が必要であると思いました。
・比較する対象のものが何を利用したらよいか分らなかったので、今回、実際に比較しながら理解することができたのでよかった。
・実際には使わないが、管理会計の手法を理解するのに時間がかかった。 
・経営分析の進め方、手法が良かった。
・決算書の着眼点や読み方、経営支援の進め方等、とてもためになりました。
・業務に役立てていきたいと思います。
・実際の申告書を基に分析できたところは良かった。
・担い手との話の中で、研修内容を伝える事が現実的に無理がある。総合事業の中で、損得は別問題であり、担い手のプライドにかかる内容であります。
・経営分析が初めてだったので、大変勉強になりました。初心者なので、もう少しゆっくり進めてもらえたら良かった。
・決算書等での着眼点について理解できたことが良かった。
・先生の説明が早口の時があり、聞きづらい部分があった。
・申告書等の読み解きが大事なことが良くわかりました。何を活用していけばいいか、もう少し勉強しないと、と感じた。
・記帳代行の意義や経営分析の意義が解った。
・考えるきっかけとなり良かった。ざっくばらんな話がきけて参考になった。
・テンポが早く、ついていけない部分もありましたが、逆に飽きずに楽しく受講できました。今まで、もやもやしていた部分(記帳代行の意味)が良くわかり、本当に良かったと思います。
・今後は、ブレずに業務に携わることができると思います。 
・記帳代行の意義や経営分析の意義が解った。意義。
・今後、記帳代行利用者を対象に経営分析実施を検討している。
・関係者に指導を仰ぎ、活用していきたい。
・説明が解りやすかった。進むのが少し早かったように思える。
・今回の人事異動にて、TACの担当者になり、どのように出向く農業をしていけばいいかと考えた際に、今回の研修会へ参加しました。分析の基礎という面では、まだまだ分からない所ですが、研修会を通じ勉強していきたい。
・経営分析について初任者でもわかりやすい講習だった。今後、活用したいと思います。
・初めて経営分析に挑戦しましたが、思っていた以上に、仮説を立てて考えることができて楽しかったです。経営分析の思考イメージを身につけられるようになりたいと思いました。しかし、分析をして楽しいだけじゃ、ただの遊びのようになってしまうため、いかに農家さんに気付かせてあげるか、農家さんが行動するよう提案してあげれるか、3回の研修に参加して学んでいきたいです。”
・より実践的で、わかりやすい研修でした。
※主催者側への要望になると思うのですが、グループ演習など、とにかく時間が足らなかったというのが実感です。

 

 

 

 

 

≪参加JA等での課題≫
・データの箱がたくさんあり、複数の人が携わって抽出していかなければならない。データの連携について、JA内部の体制整備が必要に思う。
・目標を作れと言われるが、その前の段階の準備ができていないと思いました。
・まずは情報収集が必要。
・1年ごとに対象農家を変えてしまう。(長期間で見ていない。)
・記帳代行件数が増えているので、次の段階の経営分析に取り組みたい。
・研修を活かして取り組みたい。
・記帳代行の取り組みが2年目ということで、サンプル数が足りないところが課題。
・簿記記帳でのデータ収集ではありますが、入力の人員不足で対応が難しい。
・大農家の法人化が進む中、JA利用率が低下している。
・兼務職員が多く、仕事量も多いので十分な分析、データ収集ができるか疑問である。人材不足、人材育成が常に課題としてあるのでは、と思います。
・法人設立にあたり、JAが経営支援に入っていけない部分がある。
・経営分析を実際に行うにあたり、小規模農家の分析も同時に行っていかなければならない、と考える。
・データを収集する作業がなかなか出来ない。
・毎年、記帳代行の利用者が増えてきている反面、担当職員が1~2年単位で異動になり、組合員にご迷惑をおかけしている状況です。担当者が変わるということは、そのたびに(組合員が)経営状況を説明しなくてはならず、苦情にもつながっている。(税務対応に関しても、簡単な知識さえ研修で習得後、活かされないうちの異動となってしまっている。)
・記帳代行していない。
・記帳代の行利用者が増え、今後も増える見込みの中で、JAの担当者体制不足であり、(利用者を)増やせば増やすほど、自分の首を絞める状況。
・人数の不足。(TAC担当は営農指導員兼務のため)
・青色申告連合会があり、決算書は入手しやすい。しかし、法人の決算書は入手しにくいため、どのように入手するかが課題となる。
・営農から金融部署まで、全部署の横串的連携ができていない。

 

前半の演習の解答などでやや間違いなどがあり、大変ご迷惑をおかけしたことは、今後の反省にしたいともいます。

最後に事務局を務めていただきた和田部長、山田課長、そして小原審査役。
事前準備からいろいろご足労頂きまして有難うございます。当日もずいぶん助けていただきました。
また次回もよろしくお願いします。