農家経営分析診断・コンサル担当者研修会-前期(長崎)

7月9日(木)~10日(金)の2日間、長崎県JA会館で、「農家経営分析診断・コンサル担当者研修会(前期)」が開催されました。

nagasaki1

今年で3年目になる当研修は、JA長崎県中央会農業振興部が主催でしたが、初年度から県の振興局の職員(普及技師)の方の参加もあり、昨年から長崎県農林部と共催となりました。したがって今回も、参加者35名のうち14名が県の職員の方ということになりました。

 

 

3年目の研修ですが、2年続いた分析演習の課題も変え、カリュキュラムも若干変更しました。

IMG_3179-1 IMG_3180-1

 

 

 

 

 


【研修カリュキュラム】

個人経営農家には、経営比率が使えない理由
●分析は、情報を無暗に集めてもうまくいかない(情報過多)。

●経営支援は、農家に正論を述べることよりも、信頼関係を結ぶことの方が大切。
●職員が減っている中で、JA事業として行う経営支援は、手を掛け過ぎないよう効率性を考えて行うこと。
●経営分析と経営コンサルは違う。
●なぜ記帳代行を行うのか?
●経営支援で重要なのは、現状と目標の2点を明確にすることで、安易に方法論に入らないこと。
●決算書の数値から経営目標を設定する。
●比較データの選定方法。
●仮説を立てた分析。
●分析は、まず所得という命題から出発し、細分化を進めながら課題を突き止める方法をとる。
●いちご農家(H26年の長崎県の実データ)に対する経営分析演習。グループ討議を交え参加者同士でも学び合う。
●所得目標は、家計などを長期的に考え設定すること。
●農家経営になぜスケールメリットが生じにくいのか。その理由とは?
●農家の経営とJAの経営をWIN-WINにするには?
等・・・

IMG_3154-1

【参加者アンケート】
●大変良かった:59%、良かった:37%、いまいち:4%、悪かった:0%

●常日頃、交流のない県や他JAの指導員の方々から、数値から読み取ることのできる物を教えていただけるのは、とてもよいと思います。
●JAの構造としてボトムからの組織改革は難しいです。TOPの意識革命を起こしてほしい。
●グループディスカッションが楽しかったです。
●(経営支援事業を進めるには)当JAのイメージアップがないと、農家の信用・信頼が得られないと思う。現に悪いイメージしかないので、その状態で話しても(農家からの批判が多い)聞く耳を持ってくれない。
●講師の木下代表は、導入からテンポよく話を進められ、なおかつ解り易い説明で、頭にすんなり入ってきた。
●演習もちょくちょく入るので、ただ一方的に講義をされるより効率的に理解することができた。
●(JAの課題として)支援事業の到達目標が設定されていない。現在記帳代行業務のみであり、経営分析・経営コンサルに至っていない。
●経営分析、コンサルの手順を教わり非常にためになった。
●普段の業務は、技術指導が中心のため、決算書の読み方が最初は難しかったですが、見るポイントなどを演習を通して学ぶことができ、理解しやすかった。
●(JAの課題)縦割り・横割りでなかなか支援が進みにくい場合がある。
●先生の声が大きくてよかった。
●改善案をきちんと出していくためには、より多くの決算書を見て、慣れることが必要だと感じた。
●経営分析については、農家さんの性格も把握しなければならないという所が解った。
●目標は押し付けるのではなく、農家さん自身が設定する必要があるということが解った。
●記帳代行を進めていく必要があると思います。販売は農協で把握しているが、費用は記帳代行をしないと把握できないため。
●JA内部での情報共有が不十分なところがあると思います。営農指導、各支店等もっとお互いに共有化しないといけないと思います。
●資料の内容が噛み砕かれており、とても解り易かったと思います。
●資料の誤字脱字が多く、落丁があった。
●実情に沿った事例が多く、イメージしやすかったことが良かった。
●(JAの課題)専門化すればするほど、知識は深くなりますが、視野は狭くなります。キャリアを積めば、視野を広げる努力が必要と思います。
●労災保険の知識もえられた。
●先生の話でも、分からない単語や話がありました。
●現場で使える研修内容であった。
・・・等々

今回県の方からは、すべての振興局から万遍なく専門幹や技師が派遣されてきました。また、夜の懇親会の参加率も高く、県行政のこの研修に対する大きな期待を強く感じました。
また総じて若手が多く参加されたようですが、JA職員を含め参加意欲が高く感じました。それはアンケートのコメントの時数の多さにも表れています。(評価もやや厳しめだと思います)

同研修は、今回の前期と8月に開催される後期があります。後期は農家とのコミュニケーションなどを重点に行い、定性的な面からの支援方法を学びます。後期も、参加者および事務局の方の期待に応えられるように頑張りますので、どうぞよろしくお願いします。

最後に、事務局を務めていただいた、JA中央会の松浦係長、草野さま、長崎県の岩間係長、西川主任技師、大変お世話になりました。今後も引き続きよろしくお願いします。

(研修会場の長崎県JA会館7階会議室からの眺め)

nagasakiminao1 nagasakiminato2