県央地域農業経営力向上セミナー(長崎)

昨年に引き続き、長崎県県央振興局が主催する「県央地域農業経営力向上セミナー」に講師として呼んでいただきました。
今年は、大村・東彼地区と干拓地があり大規模農家が多い諫早地区で開催をし、経営に関する講演2回と人材活用に関する講演を1回行いました。

●6月23日(火)大村・東彼地区
ここでは前半、熊本の農業法人「TACやつしろ」の野田成之 代表理事から「農業経営者に求められる経営力」と題し講義を頂きました。
野田代表達の実践事例は大変参考になり、また刺激的な内容でしたが、その中でも印象深かったのが、経営管理に関する姿勢と従業員に対する姿勢でした。
経営管理については、10日ごとの売上数量の確認を行い、柔軟に栽培計画の修正を行っている事です。なんでも野田代表は法人経営のために、あらためて簿記を学んだと。ここまで経営管理について高い意識を持った農家はあまり聞いたことがありませんでした。
また、十数人いる従業員に関しては、こまめに面談を行いコミュニケーションをしっかりとり、賃金・福利厚生を充実させ、経営が多少厳しいときでも一切減らさないという姿勢を貫いているとのこと。この根底には稲盛和夫氏の影響を強く受けているようです。
いずれにしても、大変参考になる講演でした。

nagasaki5

 

続いて、私の方から以下の内容で講演を行いました。(諫早地区も同様)
【農家の「所得」の最大化を目指す農業経営計画と実践】
●経営目的と経営目標、経営手段について
●青色申告上での経営目標とは?
●所得目標はどうやって決める?
●農業者の老後資金について考える。
●経営戦略と戦術について
●多様化する農業経営に必要なことは?
●実際の経営分析を行うに当たって・・・。
等の講演を行いました。

受講生も最後までしっかりと耳を傾けてくれ、また計らずもTACやつしろの野田代表の主張と合致するところがあり、講師として「安心」したというのが正直なところでした。(笑)

長崎1nagasaki8

 

 

 

 

 

 

 

●6月24日(水)諫早地区
この日の前半は、大規模農家が多く雇用を多く持つ農家が対象ということで、「従業員が辞めないようにするにはどうするか?」「従業金とのコミュニケーションをよくするためにはどうするべきか」という人材活用のポイントについての講演をワーク付きで行いました。

【労働力確保対策並びに人材育成】
●農業経営における雇用問題の概要
●従業員のニーズと経営者の意向のミスマッチ
●最低限守るべき労基法に沿った待遇とは?
●従業員には賃金だけでなく「やりがい」が必要
●コミュニケーション能力は全ての基本
●コミュ力には「心の土台」がしっかりしていることが必要

以上をコミュニケーション演習を踏まえ行いました。演習は農家の皆さんは若干慣れていないようでしたが、それでも皆さんしっかりと演習に参加してくれました。

今後、農家も従業員だけでなく取引先や協業相手など様々な人たちと関わることになります。その反面、まだ多くの農家は面識が少ない人に対する自己表現が苦手な方が多いと思われます。
その意味で、このような研修のニーズも今後増えてくると思われ、当方もさらなる研鑽を積む必要があると感じました。

最後に、今回の研修で事務局と務められた、山口係長、夏目主任技師、ほか皆さま、大変お世話になりました。今後も皆様のご期待に応えられるよう頑張っていきたいと思います。

 

nagasaki10nagasaki12