JAおきなわ営農指導員・県普及指導員 合同研修(沖縄)

2023年9月6日(水)~8日(金)まで2.5日間、標記の研修会の講師を務めさせて頂きました。
JAおきなわの研修会は今回で3回目ですが、現地に来るのは2回目となります。
参加者は、JA7名、沖縄県7名となりました。実は今回8月の上旬に予定されていたものですが、台風の影響で1カ月延期されました。おかげで研修期間は台風に合うこともなく無事終えることができましたが、参加者は当初の半分になってしまったようです。

【内容】
1.支援マインド
2.農業経営支援の実務
3.経営分析演習
4.農業経営管理支援の事業戦略
5.事業と生活の計画
6.経営分析面談
7.コミュニケーションスキル

【アンケート結果】
回答は9名(JA5名、県4名)

【研修の内容について】
・前から会話をするのが得意でなかったため、とても良い練習の機会になりました。 前からこの人話が上手だなと思う人は聞き上手の方が多かったので、聞き 上手になれるようになっていきたいです。

・研修を通じて経営分析のイメージが変わった。まずは実践していきたいと思います。

・ティーチングとコーチングや、オープンまたはクローズな質問といったような考え方が学べてよかったです。

・木下先生の講話は、とても参考になる内容でした。同じグループの人とたくさん会話できたのも良かったです。

・講師の方が一方的に話すのではなく、演習も適度にありとても良かったです。 コミュニケーションスキルの部分でコミニケーション力が高い人は話し上手な人ではなく聴き上手な人という部分が印象的でした。 オープンクエスチョンを意識した質問、会話の際は頭の中で絵を描きながらぼやけている部分を質問し塊を崩して相手の答えを引き出す等、様々なテクニックを研修で学べとても有意義な時間を過ごすことができました。 ありがとうございました。

・近くの人とロールプレイングして練習できたことが良かった

・今回初めて決算書を見ましたが、決算書のどこを見ていけばいいのかはまだまだ理解できていないところもありますが、今回の研修で以前よりは理解できるようになりました。また、決算書をもとに分析するだけでなく、農家への聞き取りや会話の中からも経営上の悩みや問題が引き出すコミュニケーションスキルを上げることも重要だと感じました。今回の研修は貴重な経験となりました。ありがとうございました。

・経営分析は、決算書の見方を習うと思っていたが、その後の農家に返すところや考える農家を育成、支援するところまでの研修となっており、コミュニケーション方法まで習えたところがとても良かったです。

【農家の経営について】
・収入の低さや、単価の安さ、高齢化 所得についてしっかり調べていない方が多いこと

・販売単価をみんな考えて経費部分など経営まで見れていないと思う。農家自身の現状の把握げ必要。

・経験のある人材が不足しており、作業効率が落ちている点が課題であると感じています。

・農業は始めるにも農地や資金、技術習得などハードルが高く、収入も気象災害など様々なリスクを抱えている。特に就農定着するまでに、重点的な支援が必要。この期間内に経営に関する意識づけや必要な情報をサポート活動として、関係機関が役割分担して継続して支援できるようにしたい。

・親と子、それぞれ独立した経営体としてやっているが実態は家族で行っていて出荷実績や購買実績がごちゃごちゃになっていて収支がアンバランスになっているので経営状態が把握しにくい。 よく考えず、補助事業を活用して設備投資をしたさいに自己負担分の支払いがペイ出来ずその部分が経営を圧迫している。(過剰投資)

・さとうきびの製糖期に入ると園芸品目の管理がおろそかになることが課題

・私が関わる農家の場合は、帳簿をつけられていない。支出計画から生産計画を立てることなどはできていない人が大半と感じています。

【組織の課題】
・自己分析を行なっていない農家が多いように感じられるため、経営分析の相談会などに参加する人が少ないのではと思いました。

・まずは記帳代行などを行い現状を見直してもらう必要がある。ただ自分の地区については高齢化が進んでいて中々、厳しいのかな。

・担当職員の人員不足が課題であると思います。中部地区では1〜2人しか経営専門員がおらず、業務負担がかなり大きいように見えます。一方、営農指導員も人員がカツカツで、自身の業務に手いっぱいなので、経営支援に関われず終いな現状です。

・担い手の経営管理について、所内で情報共有する仕組みがあるが、営農面に止まっている。就農定着支援の為には、所得確保、経営まで踏み込んだ支援が必要と感じています。

・組織内で経営管理支援事業の理解があるようでない。(専任の人員配置がない) 今後、力を入れていくためには記帳代行料金を上げて人件費分もしくはそれ以上に収益を出す必要があるが、料金の値上げ踏まむ込めない。

・経営体コンサルを担当するのですが、担当することが先に決まっており、支援農家も自分で探してくる、コンサルの進め方も教えて貰ってない状態でのスタートで、とても不安を感じていました。分からなければ聞いてくださいとは言われていますので、相談できないという環境ではありませんが、初めて実施するにあたり負担が大きいと感じています。

【今回の研修から取り入れたいこと】
・人の話を聞いて、聞いて、聞き上手になること

・まずは、しっかり話を聞いて農家自身に課題に気づいてもらう。

・資料を元に農家さんへ説明する際、ティーチングパートとコーチングパートに分けた対話を意識しようと思います。知識面の共有は行いつつ、農家さんのモチベーションを引き出しつつ、より良いコミュニケーションを取れるように心がけたいです。

・コミュニケーションやコーチングのスキルなど、今後の面談で意識していきたい。

・すぐ出来ることとしては、農家さんとお話しする時にオープンクエスチョンとコーチングを意識すること。 内部では、今回の研修内容を共有することも含めて演習内容を実施し意識統一をしていきたいと思う。

・農家と会話する際にオープン・クエスチョンや具体化する質問を意識的に使っていきたい。

・決算書の見方や、経営分析相談時の質問(具体化する質問、視点を変える質問等)は、経営分析だけでなく、日々の農家対応にもち取り入れていきたいと思いました。

・いくつかの農家データをもっての比較、ライフプランも考慮に入れる、オープンクエスチョンを活用した農家に考えてもらって方向性を決める、という方法を取り入れて実践します。自分で提案しても、暖簾に腕押しと感じることがあったので、今回の研修で腑に落ちました。これから経営体コンサルを行うのがちょっと楽しみになりました。

 

3日間の研修内容を、2.5日で行いましたが、予想以外に早く進み、充分な形で終えることができました。
実質3日間という長い期間の研修でしたが、受講者の方も最後まで集中力を切らせず受講していただいたことは、講師として嬉しいことでした。
研修準備から当日の対応まで行ってくれた、事務局の前田様、大変お世話になりました。今後もどうぞよろしくお願いします。