経営管理支援研修会(青森)

2021年10月29日と11月2日の2日間、表記の研修会が青森県中央会主催で開催され講師を務めさせて頂きました。 参加者は県内6JAから11名、中央会2名の13名となりました。

今回はオンラインでの対応という事でしたが、機器の問題でJA会館に約半数の人が集まり、半分が各事務所からの参加という形になりました。全ての参加者が、青申業務・記帳代行担当者でしたが、青森は記帳代行から経営支援業務に進み切れていないという課題があり、その辺りの業務改善を念頭に研修会を進めました。

【研修内容】
1.支援マインド
2.農業経営支援の実務
3.経営分析演習
4.農業経営支援の事業戦略
5.所得目標・目標と事業計画
補講.経営分析のフィードバック

【アンケート結果】
1.支援マインド
(大変良い77.8%、良い11.1%、普通11.1%、悪い0%、非常に悪い0%)
2.農業経営支援の実務
(大変良い55.6%、良い44.4%、普通0%、悪い0%、非常に悪い0%)
3.経営分析演習
(大変良い55.6%、良い44.4%、普通0%、悪い0%、非常に悪い0%)
4.農業経営支援の事業戦略
(大変良い77.8%、良い22.2%、普通0%、悪い0%、非常に悪い0%)
5.所得目標・目標と事業計画
(大変良い88.9%、良い11.1%、普通0%、悪い0%、非常に悪い0%)
6.総合評価
(大変良い88.9%、良い11.1%、普通11.1%、悪い0%、非常に悪い0%)

【研修内容について】
・経営分析は複雑な数字を使って農家に資料を見せながら、進めていくものだと思っていたが、より重要なことは農家に現状を理解してもらう事だと解った。
⇒はい。改善案を示すことでもありません。
・数値を積み上げて目標に向かうのではなく、理想から逆算して目標を設定するという考え方に感銘を受けた。
⇒”感銘”とは過分なご評価、ありがとうございます。
・オンラインだったので、グループワークに参加できなかったので、次の機会があれば参加したい。
⇒次はオンラインでもグループワークを行う事にしましょう
・講師の木下先生の説明が解り易かった
⇒ありがとうございます。
・経営分析をするにあたって、データを読み取るのが難しかったので、これから多くの資料等に目を通して、少しづつ理解を深めていきたい。
⇒そうですね。慣れて頂くのが一番だとおもいます。
・こういった研修(木下さんみたいな講師の、という意味です)に参加したのは初めてだったので、とても楽しかったです。とても具体的で、すぐに実践できそうだと思いました。やはり上司、若手の方にもこの研修を受講してもらいたかったです。参加出来て自分自身の意識が変わったことが一番良かったです。後は実践していくことですね。
⇒楽しんでくれてありがとうございます。実践頑張ってください。
・記帳代行の先にある経営分析のハードルが低くなった。以前は自分には難しすぎると思っていたので、現在の自分でも充分できると気づけたのは非常に良かった。内省にも限界があるので、会話で得られる気付きを大事にしたい。記帳代行は記帳を代行するのがメインではなく、情報収集が一番の目的だと知れたのも良かった。
⇒ハードルが低くなって頂けたら、自分の講師としての仕事が全うでたようです。ようかった。そうですね、一人で考えるのは普通限界があるでしょうね。だから対話です。
・経営分析について収支を細かく分析してアドバイスを導き出さないといけないと思っていましたが、研修を受けてみて、自分が無意識に上からモノを言っていたかもしれないと気付かされました。まだ経営分析の実施について目処はたっていませんが、持ち帰って上司と話し合ってみたいと思いました。
⇒「細かく分析してアドバイス」ってのは色んな所で流布している間違たイメージだと思います。なぜならそんなことは、現実的になかなかできないんですよ。
・Webでの講習でしたが適度に演習もあり飽きることなく受講することができた。
⇒飽きさせないというところも、気を使ってやっているところです。
・ラジオみたいで聞きやすかった。
⇒うれしい評価です。
・他の参加者とのコミュニケーションが取り易かった。
⇒対面だともっと良かったかもしれませんね。
・講師先生の進め方がとても上手で研修に集中できた。
⇒ありがとうございます。もっとうまくなりたいです。
・経営支援の手順や考え方について、基本的なことを学べたのでよかった。
・生活費への踏み込んだ考え方がよかった。
⇒ここまで入らないと農家を本気にさせられないんですね。
・実務研修を交えているので解り易かった。

【農家の経営課題は何か】
・自分が経営者だという認識を持っていない農家がまだまだ多い。そのため所得税にしか注目しておらず、赤字でも所得税が発生していなければOKという農家もいる。そういった農家から現状を理解してもらい、経営分析の前に農家の心構えから変えていくため、JAが寄り添う事が重要だと感じた。
⇒どうやって生活しているのか不思議な農家っていますよね。
・農家自身の目標設定と現状把握。漠然とした「所得向上」といった言葉が目標になっていると感じます。研修内で説明の有った、目的・目標の設定と現状把握の二つがあってこそするべきことが見えてくると思うので、その意識づけが必要であると思います。
⇒そうですね。漠然とした目標というのは意味ないのです。
・農家の人が自分の経営に無関心(どんぶり勘定)。
⇒みんな同じだと思っているのでしょう。優良農家の平均値でも見せてやればいいのです。
・JA(経営支援室)に丸投げ。
⇒頼られているのは良い事なんですがね。
・収入、支出、所得について理解が薄い点。
・税金の金額(所得、消費税と共に)ばかり気にしている人が多いように思う(高齢者の方とか)。
・現状に満足している感がある。⇔労働力が確保できない、資金が無い。
⇒根拠なき満足って、目標がないからだと思います。
・長期的なビジョンで経営している農家が少ない。収入を米に依存している。農家同士の団結が弱い。機械の過剰投資が多い。
⇒みんな”あるある”ですね。
・決算書から数字を振り返ることが農家には無いので検証していないことが課題。
⇒一緒に検証する機会をつくりましょう。
・親が亡くなってから、事業承継するパターンが多く、経営をそもそも考えていない農家も多い。確定申告を無事に終わらせるだけ!
・農家さんの気にしている所は、税金をやすくすること、健保料金を安くするには、ということ。もしかしたら経費については深く考えていないのかもしれないと思った。とりあえず領収書提出しておく感がある。面談時に様子を見ているかぎり、収入、所得について深く考えているのか疑問だった。
⇒それを深く考えてもらうようにするのが経営支援です。

【経営支援を進めるうえでのJAの課題】
・記帳代行で終わってしまっているので、収取したデータを活用する場面がなかなかない。我々だけでなく、他部署との連携してデータを活用できれば良いと感じた。
⇒他部署はこういうデータがあることを解ってないんですよね。
・農家との対話、信頼関係の構築が必要だと思います。経営支援を始めるうえで、最も大切なことだと思うからです。またJA内で職員がうまく連携し、少しでも多くの経営支援を行っていくことも重要であると思います。
⇒おっしゃるとおり信頼関係はだいじですね。
・経営支援、経営分析を難しく考えすぎているので(はじめから出来ないと決めつけている)ハードルを下げなければならない。
⇒はい。下げましょう!(笑)
・経営分析に結びつけるきちんとしたデータの入力ができていなかった。※面積、品目(解っていても入力していない等)←最初から分析をする必要が無いから、ここは入力しなくても良いといわれていました・・・。せっかくの大切な情報を無駄にしていました。
⇒大丈夫っす。これからこれから。
・支援、分析などの言い方から受けるイメージと、(今回学んだような)経営分析の方向性、現段階でやれる範囲、などにずれがあると思う。実際に「経営支援をします」と農家に呼びかけたとして、期待されすぎるような気がする。
⇒そうですね。間違った期待はしないように農家に解ってもらう事も必要ですね。
・記帳代行が毎年農家の申告書を代わりに作って提出している部署と思われていること。→上の立場の人があまり業務内容を理解してくれないように思う。確定申告という事自体を敬遠されているように思います。
・詳しい職員がいない。誰がやるのか押し付け合いになりそう。
⇒いろいんなJAで見られがちな光景です。
・記帳代行しているが、無料サービスでやっている経営のアドバイスまでしていない。
・記帳代行を実施しているが、独自作成の会計ソフトを使用しているため、検証ができない。
・バイトだけでほぼ完結しているため、決算書を作成するだけで活用に活かしていない。
⇒そこは正職員が知恵を出して指示しるしかないですよ。
・100万円位の販売金額の人が多く、将来につながらない。
⇒たしかにそこはメインの対象ではないですよね。
・年配の方の経営支援はどうしたらよいか。経営分析はこれから長らくやるであろう若手農家を対象にした方がいいのか。
⇒若手でしょうね。
・記帳代行は他の営農指導者とのつながりがあまりないように思うので、どの機会にそういう場を設けたらいいか。
⇒フィードバックを一緒にやることして、その勉強会から始めるといいと思います。

 

青森で仕事をするのは初めてで、今回機会を頂いてうれしく思います。青森は記帳代行は進んでいるので、今回の経営支援の方法を理解してもらえれば、次のステップに進むのはそんなに大変ではないかと思います。頑張ってください。

最期になりましたが、事務局を務めて頂いた中央会の木村様、準備の段階からお疲れさまでした。2日目は青森の会場の音声もよく入ってよかったです。こんごもどうぞよろしくお願いいたします。