農家経営分析診断・コンサル担当者研究会-後期-(長崎)

2019年9月25~27日の3日間、標記の研修会が長崎県のJAビルで行われ、講師を務めさせて頂いた。主催はJA長崎中央会と長崎県農林部。
参加者は、県内JA14名、県振興局7名、畜産協会1名、県外JA3名(大分、熊本)となりました。

【内容】
1.前回からのおさらい
2.肥育農家の経営分析
3.集団分析
4.コミュニケ―ションスキル
5.支援マインド2
6.個別経営支援(経営コンサル)

 

【アンケート結果】
1.肥育農家の経営分析
(大変良い31%、良い65%、普通4%、いまいち0%、大変悪い0%)
2.集団分析
(大変良い48%、良い48%、普通4%、いまいち0%、大変悪い0%)
3.コミュニケ―ションスキル
(大変良い64%、良い24%、普通12%、いまいち0%、大変悪い0%)
4.支援マインド2
(大変良い60%、良い28%、普通12%、いまいち0%、大変悪い0%)
5.個別経営支援(経営コンサル)
(大変良い46%、良い46%、普通8%、いまいち0%、大変悪い0%)
6.総合評価
(大変良い45%、良い55%、普通0%、いまいち0%、大変悪い0%)

 

 

 

 

【研修内容について】
●グループ演習が多く、自分では考えないことがグループ内から出たので良い演習だった。
●名簿に担当部門を書いていると話が広がり易いと思った。
●経営支援=無駄を省くというイメージに囚われすぎていた。新たな収入を得るため、第2の作物を選択して、経営を行う方法もあるのだと感じた。今日、他JA・営農関係者ならではの知識を拝聴し、自分にはない考えを知る事ができた。経営支援には関係部署との連
●ペアワークでコミュニケーションスキルを使う練習を行ったが、なかなか難しく感じた。普段からやっておかないと、いざとなった時にできないので、心がけてやっていきたい。
●グループ討議を行う中で自分とは異なる考え方を聴くことが出来て良かった。
●コミュニケーションスキルはあまり勉強したことはなかったので分からなかったが、今回の研修でスキル等を学ぶことができた。
●決算データを読み取って仮説を考える際にイメージを膨らませることがポイントと感じたが、なかなかイメージを膨らませることができず苦労した。また、コミュニケーションスキルでは、普段から意識しているところもあったが、相手の気づきを引き出す質問は今後、意識的に訓練したいと思う。
●畜産のデータ分析をもっと多くやってみたかった。
●いつ経営指導をするか分からないので、今回の研修で知識を得られたのは非常にいいことだと思った。
●コミュニケーションスキルは自分の課題なので、とても参考になった。実践することはまだまだ難しいなと思うが、意識して取り入れたいと考えている。グループワークは色々な方の意見を聞くことができてよかった。
●実際の事例をもとにしているところは良かった。演習形式が多く良かった。
●実際に分析・コンサル系のことに取り組んだことがないため、なかなか難しいと感じる演習もあったが、普段生産者と接する上でも重要なコミュニケーションスキルなど、身近な部分もあり理解しやすかった。
●普段畜産に関わることがないため、肥育農家の経営分析は新鮮な感覚で取り組めた。
●支援マインド(コミュニケーションスキル)は経営支援に限らず、日常の業務に役立つと感じた。研修後から意識して活用して身に付けていきたい。そして、経営支援に活かしていきたい。
●経営診断・コンサルを行う上で営農部門だけでなく、JA全体取り組むべきだと再認識できた。
●いつもの講義では検討しない様な事例がたくさんあり、今回の講義を参考にしていきたい。
●農家目線での話や1つ1つの細かい(表情やしぐさ)観察をすることの重要性が印象に残った。
●今回の研修を通して経営支援やコンサルを行う上で共通してコミュニケーションが大事であると感じた。仕事でもプライベートでも学んだコミュニケーションスキルを活かしていきたい。
●コミュニケーションスキル、聞き上手になることが大事ということと、コーチングとティーチングの話は現場でもすぐに生かしていきたいと思った。
●若い時(20~30第)に知っていればということだが、頭に浮かんだ事例があった。
●普及指導員(局)もコンサルとしてでなくても、知っておくべき内容と思った。
●普段の経済業務では学ぶことのない事を知る機会があって良かったと思う。
●肥育農家の経営分析については、決算書の見方について慣れていなかったので、理解するのに時間を要した(ついていくのがやっとという感じ)。その他については、実践的なトレーニングを行う手法を多く取り入れてあり、役に立つものであると思う。今後、農家の方々との面談の積み重ね・経験の蓄積の中で自身のスキルを高めていきたいと感じた。●集団分析のところで、なかなか農家さんに数値上の説明をしにくいところで、グラフ化等見やすいものにして説明するというのは良い説得材料になると感じた。また、コミュニケーションの取り方として、普段からあまり意識したことがなく、これから役立てるものになりそうである。

 

【経営支援事業の課題】
●分析している内容はとても詳しいところまでやっているが、それを農家に伝えるとき、内容が難しすぎて理解できる農家が少ないと思われる。もっと分かりやすくできれば、効果の出方が違うのではないかと思う。
●農業経営管理支援事業の取り組みがまだない。
●JAの担当者(営農、TAC、融資)がアテンドしての経営診断ができていない。振興局は前向きに参加してくれるが...
●JAの体制と支店の理解。
●比較的生産者が多い地域であるので、絞るのは当たり前のことではあるが、なかなか選びにくいところもある。
●現状、所属JAでは経営支援事業について、まだあまり力を入れていない印象なので、今後取り組みが必要と思う。
●担当地区ではあまり進んでいないような気がする。
●経営不振農家への支援は行っているが、根本的な解決には至っていないのが、現状である。
●上司との密な関係作りが大事になってくる。上からのサポートがなければ下は動けない。
●金融担当にとって具体的な経営の感覚がない。先生にとって肥育農家の経営の特徴(その他、イチゴなど)があるのであれば、教えていただきたかった。
●窓口となる部会担当者が他の業務に追われ、この事業に時間を割くことができないように感じる。
●県の経営担当者が本来の業務ができていない。(本庁からの無駄な報告依頼など)
●記帳代行の利用者があまり多くなく、データが少ない。経営支援にあまり営農部門が絡んでおらず、実際行われているかもよく分からない。
●若手職員(2~6年目ぐらい)の経営に対する意識付けを行う必要があると思った。
●役員等の理解が少ない(経営支援の本質)。未収金、債務の回収の為としか考えていない。役員・金融・債権担当者向けに講習会を行う必要があるのでは?
●組織内での意思の疎通が上手くいっていないところがあり、仕事をする中でやり辛い事がある。二度手間になり、農家に迷惑をかけるようなことがよくある。
●能力ある職員を増やしていくこと。方向性を明確にし、職員へ周知していく。トップダウンをどうにかしたい。
●経営支援部門があり、申告や記帳代行業務を行っているものの、他の部署との繋がりや活用がなされておらず、農家の経営分析や改善まで至っていないため、その部分をいかに発展させていくかが課題と思う。
●農家のためにというより、負債回収がメインになっている部分があるのではないかと思う。
●上役、関係団体と足並み(情報共有)を揃えること。
●金融部門、債権管理部門と営農・経営部門の連携や課題認識や経営管理支援の目標の共有を図る内部コミュニケーションも大事であると思う。また、経営者レベルにおいても、各JAにおいて経営管理支援事業への取り組みの重要性について、もし認識の差があれば、より高めていくことが大事であると思う。
●JAによって、経営支援事業があったりなかったりするようだが、全JAにおいて支援事業の部門を置いた方がより活発に動くのではないかと感じた。
  

前期後期合わせ、全6日間の今年の研修会も無事終わらせることができました。
毎回ですが、実際にやってみると研修自体の課題が見つかるのものです。今後もさらなる改善を行っていきたいと思います。

毎度、完璧な事務局をこなしてくれる中央会の松浦次長、福田様、そして新戦力の木寺様、大変お世話になりました。
今後もどうぞよろしくお願いします。