「倒産の淵から蘇った会社達」 松村謙一 著

新しいHPの投稿の第一弾を、この本の書評にしました。それは、この本に私の仕事の理想の一つがあるからです。正確に言うとその理想は、本ではなく、著者の村松謙一氏に対してのものだと思います。

村松氏は、会社救済を専門にしている弁護士です。つまり経営危機に見舞われた会社を、法スキル等を駆使した再建を行っている弁護士です。会社の破たんに伴い経営者が命を落とすことを、何よりも問題視ししてそれを一件でも食い止めることを自らの使命としています。

本書の序文にこうあります。「『退場』させる前にどうして『治療』をしようとしないのか。不良債権処理は、つぶすのではなく、治療させることを優先させるべきである。」

JAを通じた農家の経営相談は、JAの不良債権問題から出ており、ほとんどのケースは、再建ではなく回収に力点が置かれています。しかし担保を処分させる回収はほぼ確実に、その農家の農業者としての生産力を奪うだけでなく、地域で暮らすことも難しくさせます。

もちろん、JAが担保処分や代位弁済による債権回収を重視するには経営上の課題からやむ得ないものであり、決して不当なものではありません。しかし、その中で「回収は農家を再建をする中できないか」と真剣に考え、そのために動く者がいてもいいかとも思っております。

私は弁護士ではありませんが、農業界において、村松氏の仕事にできる限り近づいた仕事をしたいと思っています。これは、私の仕事の基本的な理念となっています。