農家経営分析診断・コンサル担当者研修会 ー2024前期ー(長崎)

2024年7月17日(水)~19日(金)までの3日間、表記の研修会が長崎県JA会館で開催され、講師を務めさせて頂きました。
参加者は、JA19名、県8名、県連3名の合計30名となりました。12回目の長崎での研修会ですが毎回緊張して臨ましてもらっています。

【研修内容】
1.支援マインド
2.農業経営支援の実務
3.経営分析演習
4.農業経営管理支援の事業戦略
5.事業と生活の計画
6.コミュニケーションスキル
7.経営分析面談と対話の構造

【アンケート結果】

【研修内容について】
・青色申告、営農指導など、ある程度内容が分かっている前提で話を進められるのは困る。申告書も決算も見たことない。
・グループワークでたくさんの意見を聞くことができてよかった。
・具体的な演習があり、とてもためになりました。
・経営分析などはやったことなかったのですが、いろいろな発見がありました。
・コミュニケーションでは、日常生活でも使えると思いました。
・コミュニケーションを改めて解説してもらうと分かりやすいし、深い!!と感じつつ、意識しながらアウトプットすることが難しい。混乱しました。時間をかけて整理していきます。
・話しがききとりやすかった。内容がわかりやすい。
・支援について、何か答えを示すのではなく農家(相手)が内在的に持っている理想を引き出すことを手伝う気持ちが大切。
・グループワークする事で、様々な視点を共有できた。
・申告書等の数字をみるだけでも、ある程度経営状況がみえてくるので面白かった。
・相手に考えてもらう質問の仕方をする。
・話しを聞くだけでなく、グループセッションなどがあり良かった。
・色々な方と話す機会があり良かった。
・目標設定シートの所は、もう少し詳しく説明をしていただきたかった。
・コミュニケーションスキルの説明がとても分かりやすかった。
・途中で演習があるのですごく良かったです。全て聞くだけでは集中力がなくなってしまう。
・事例があり良かったです。
・前半はグループ全体で協議して行ったため解りやすかった。
・後半は内容も複雑になって難しかった。
・漠然と考えていたことが、具体的な事例やペアワークにより実践的に理解が出来て、自分の足りない部分が客観視できて良かったです。
・経営分析の演習でグループワークをする中で、経営資料の一連の数字・実績、又は流れを把握することで、いろいろな視点、他人の意見・分析を聞けたのが勉強になって良かった。(又、経営分析の進め方)
・農家の生活面のライフプランから新たな部門への係わり方を実践して行きたいと思いました。コミュニケーションと対話、接し方等は、他の部門に通ずることがあるので、今後もつなげていきたい。
・所属先の異なる方々と意見交換の場を設けてくださったこの研修に参加できた事は、私にとって大変有意義な経験になりました。
・研修の内容は、知識の乏しい私には難しい問題ばかりでしたが、他の参加者の話を聞いて、少しですが理解することができました。(一番びっくりしたのは、イチゴが野菜だったということです。)
・自分で考える事が多く、とても良かった。また、班を3日間で変えながら行っていたので、いろんな意見が聞けてとても参考になった。
・講師の方の話し方がとてもわかりやすかった。
・経営分析にもいろいろなやり方があることを知れてよかった。
・「聞く力」の大切さ。
・農家の経営支援に対する考え方について、経営分析以外にも詳しい情報を引き出すために、コミュニケーションスキルが重要だということを学べて良かった。
・参加者(受講者)同士で演習を交えながら行えたのが良かった。もっと増やしても良いと思いました。
・演習が多くて、日で班が変わるので、色々な立場の人と情報の交換ができて良かった。
・経営支援において、主体が生産者であることを再確認できた。
・コミュニケーションひとつで話の広がり方も変わってくるので、信頼関係を作るために心掛けていきたいと考えた。
・グループワークを挟みながらの進行で良かった。
・グループワークや2人1組での対話があったことにより、自分の意見だけでなく他者の意見も取り入れることができてよかった。
・経営分析・コンサルについて、担当部署の垣根を超えて、連携していくことの重要性や生産者自身が自ら考え、目標を立てていくことについて学べたのが良かった。
・業務効率を高めるために、どのような規模の人を対象にするか、担い手にしぼる等の対応をすることで、効果的な支援を行えるという点に共感した。
・分析する中で、現状認識を深めるタイミングや提案内容を明確に行うのは難しいと感じた。
・実際のデータを見て仮説を立てる→対応策を考えるやり方は初めてやってみたので、頭の使い方の勉強になりました。
・分析といっても、ただ現状を羅列するのではなく、複数の情報を関連付けてストーリーにするという話がとても分かりやすかったです。
・簡単なようでとても難しかったので、練習が必要だなと感じました。
・経営分析には専門的な知識が必要と考えていたが、生産者の経営への意識向上に向けて、自分にもできることがあると考えられたことが良かった。
・あくまで、目標等を設定するのは農家さんであるということ。
・演習中心で楽しく学ぶことができました。
・後半、先生が早口になっていて、理解が追いつかなかった。
・説明内容がテキスト化されていて良かった。
・実戦形式、ロールプレイで学ぶことができ、取り組み方・考え方ができるようになったと思った。データの使い方や表現の仕方も、他の人の意見を聞けて視点の違いも学べた。
・農家の経営指導に関するハードルを下げることができた。
・研修内容を振り返り、経営指導を必要とする生産者に対して実施できるよう準備をする。
・実例などを用いて、分かりやすく解説されており、大変参考になりました。
・今まではふわっとした感じで経営分析→指導を行っていましたが、経営分析から農家と接する際のスキルまで、内容が網羅されており、今後の普及活動にとても役立つと感じました。

【農家の経営上の課題】
・数年後の長期目標を定めておらず、毎日の作業に追われていること。
・生産者はやりたい事(手を出したい事、興味がある事)が多くて、集中して1つの事を成し遂げられない。
・所得や生活にも目をやり、生産者が考える指導を行う。
・自然災害などの対策や人手不足。
・肥料・農薬の高騰。
・向上心を保つことがむずかしい。
・部会に入ることは大事だけど、方向性の違いなど、いろいろあって大変そうなイメージ。だからこそ、相談できる場が必要だと感じました。
・経費は上がるが、収入は行動を起こさないと上がっていかないので、止まってしまうと悪くなっていく。
・作型にもよるが、一年一作であり、また外的要因が一律でないため、数値として分析することを潜在的に避けている。抵抗感があるのではないか。
・後継者問題による生産量・面積縮小。
・資材費の高騰、農産物の低単価による所得率の向上。
・客観的に見ること。何が必要で何が不必要かの分析。
・高齢農家の増加による農業事態の全体的な衰退化(若手不足、耕作放棄地)。
・部会メンバーのほとんどが高齢によりやめていき、ほとんど活動を行っていない方も問題となっている。
・経営が傾きだした時に相談する相手がなかなかいないのではと思います。(どこに相談すればいいのかわからない等)※すぐに相談できない→傾き始めたらすぐ支援と経営会議があるのか分からない
・高齢化に伴い、栽培管理の遅れなどが発生し、病害虫の防除も増え、経費が増えてきていると思われる。また、後継者もおらず、離農を考える人が多い。
・農家の経営者意識の欠如。(良いものを作ることだけを考えて、効率的に売れるものを作る意識が少ない)
・価格の転嫁ができない構造。(電力会社のように価格を決める作物があってもよいのでは ※国が守る必要と考えるなら)
・新規就農者の経営上の支援、収入と費用のバランス(優良農家の事例に基づいたアドバイス)、又生活面も踏み込んだ経営支援。
・農家ひとりひとりの目的・目標の設定。(将来、10年後~1年後の落とし入れ)
・後継者不足、担い手不足が問題だと思いますが、これは農家だけに限ったことではないと聞きます。
・やはり、農業をやってみたい、やって行こうと思えるような未来に希望の持てる職種にしていかなければならないと思います。そのためには、JAだけ、支援室だけではなく、皆で協力しあって、農業を守り立てていかなければと思います。(簡単ではありませんが…)
・反収の減少。(販売高が上がらない)
・費用はある程度、皆同じなのかなと思う。すると、反収を増加させることで、所得率の増加、また所得の増加へとつながると思う。
・先の目標がないのでは?
・今しなければならないことが分からない、現状を知らない人が多いのではと思った。
・5年後、10年後の目標が明確になっていない農家の方がいるので、そういうところを改めると収益の増加が見込めるのではないのかと思う。
・経営分析の現状を知らないこと。
・長期の経営計画を考えていない農家が多い。(特に若手農家)
・農家―JA間の情報共有がもっと必要かと思います。
・自分の経営の問題点や課題が見えてなく、先を見た経営ができてないと思う。
・高齢化が進み、目標が規模として小さくなってきている一方、新規もいくつかは毎年いるので、当然だが考え方や目標に大きな差が生じている。
・休みがない。受け継ぐ人がいない。
・販売金額と農薬・肥料コストについては敏感だと思うが、忙しさなどもあり、その他の項目(家計費や全体の所得率)や過去数年の推移からの分析、地域の平均と比べての自身の経営の位置を把握することは困難。
・目先1,2年くらいの状況を想像できても、5年,10年先の目標や資産購入計画が立てられない。
・損益分岐が意識しづらい。
・経営について考える時間がとりにくいことが課題だと思います。
・月に数回でも、営農指導員と一緒に今後の経営について会話をする機会を取っていくことが大切だと思います。その時に、必要なデータを見せてもらい、一緒に現状把握が出来れば、生産者さん・の”これからどうしていきたい”を考えるきっかけになるかなと思いました。
・生産や栽培が重要なことではあるが、コストについて考えることが後回しになっている。
・家計簿は妻がつけていたりと、経営を把握していないが、投資の意思決定は夫がしている場合がある。
・今回学んだ経営支援を実施する体制づくりや代行記帳データの共有化を実施したい。
・環境(天気、相場)のせいにする傾向が強い。
・JAとの関係性があまりよくない。
・目標が具体的に定まっていない。
・肥料・燃油の高騰によるコスト上昇。
・農家自身のこだわり・自信のもとでおこなっている経営について指導をしても変えられない、変更できない点も多い。
・気づくレベルのときには進行していることも多く、修正・改善が難しいことがある。
・農家自身が経営状況を把握していない。
・光熱費が想像以上にかかっている。
・自転車操縦の農家もいる。
・とりあえず生産効率や品質をあげれば、経営なんて良くなるだろうと思っている。
・農業と家計が分離できていない。
・所得をあげれば、貯蓄に回さず、すぐ使ってしまう。
・本当に経営がピンチにならないと相談してこない人がいる。
・お金が足りなくなったら、とりあえず農協から借りればいいやと思っている人がいる。
・自分は生産をちゃんとやっているから、経営は支援機関がやればいいと言われたことがある。

【各組織の課題】
・経営支援と営農経済事業に繋がりがないので、情報を共有し、一緒に生産者に寄り添っていく。
・代行記帳はその部署だけで終わっているような気がします。
・記帳代行を活用できない。
・支援する体系がない。
・営農を担当するところでは、農家の状況は本人しか分からない。
・組織全体で動くことは難しいかもしれないが、歴代受講してきた方、部門間の横の連携が密にとれれば、ひとつずつ改善が可能ではないかと考える。
・指導員不足のため、現地を巡回する時間、組合員と顔を合わせる時間が限られる。
・農家さんの経営の現状の把握。
・1人の人がいろんなことを抱え込んで、その人がいなくなったときの対策ができていない。
・担当者及び部署がなく、ほぼ指導(営農)に丸投げな部分がある。また、代行記帳のデータを担当者クラスでないと取れないというより、どこにあるのか分からない。そもそも経営支援をしているようにあまり見えていないので、それもしているというアピールが欲しいです。
・個人業務が多い。(人手不足により)
・同業他社の商品に単純なコストでは勝てないものがあり、総合的コストパフォーマンスやオンリーワン商品、安心安全などの付加価値等の違い 、説明が難しく、経営支援が必要な人ほど推進をしているだけのように思われ、理解が得られないことが多い。
・農家の経営支援プロジェクト・協議会(定例会)の開催、流れを作る。(貴JA・団体→JAの関係部署での情報共有)
・最終的に農家ひとりひとりの個人面談(担い手担当者・指導員含む)、そこからフィードバックを実施していく。
・木下先生が研修会の中でおっしゃっていましたが、記帳代行から経営分析して最終的に経営支援につなげていくことが、JAに(もちろん農家も)とっても、農業にとっても、良い方向に進んでいくのではと思います。
・個々はそれぞれ頑張っているのに、上手く連携が取れていないところがもったいないなと感じます。
・人手不足ではないか?
・他部署でも人材不足と言われているため、経営支援を本格的に行なうとすると、業務に偏りがでると思う。
・栽培管理だけでなく、経営についてもアドバイスできれば…。
・経営分析の現状を知らないこと。
・経営支援をする上で、各部署との情報交換がうまくできていない。
・農協以外の振興局・市役所等の他団体との情報共有があまりできていない。
・部署同士の仕事内容の共有などが根本的に必要なのかと思いました。
・JA内での横のつながりや縦のつながりを含めて、農家の経営の支援を行っていくことが、今後の長崎県の農業の存続につながるのではないかと思う。
・経営感覚や農業の基本的な知識を持っていない方がいる。
・全農はJAとの関わりは多いが、農家との関わりはあまり多くないため、農家の現状を実際に出向いて顔を見て話すことが必要だと感じた。
・指導員の経営分析手法に関する知識や実際の事例、経験の積み上げが不十分。
・経営分析支援体制が整っておらず、効果的な支援ができていない。
・農家さん側から資金相談等がある場合は、決算書を見ながら経営について話をすることができるのですが、それ以外の時はなかなか個別に具体的な一歩踏み込んだ経営の話をする機会が取れないことが多い。
・人手の不足。業務の重点化をして個別面談の時間を確保。
・品目によって体制ができていない。体制づくり。
・経営支援を行っていない、もしくは行える人員が不足している。
・経営支援を敬遠しがちになっている。
・関係機関との連携が上手くいっていない。
・人事異動で担当がコロコロ変わる。
・それぞれの専門・担当と区分されていることも大事。(専門性を持てる)だが、それ以外の事には入りづらい場合もあり、情報共有をしっかりとしないと分からない、対応できないこともある。できる限り、各担当に入ってもらえるようにはしている。
・経営担当者以外が経営指導に対する壁が高い気がする。
・技術担当と経営担当の情報共有があまりされない。(特に大きい事務所では)

 

以上、今年の前期も無事終了することができました。
内容を若干げずって、説明を丁寧にすることを意識したからか、アンケートの評価良かった気がします。
最後に、事務局の吉田様、濱口さま。準備から当日3日間、大変安定した事務局運営をしていただきありがとうございました。後期もどうぞよろしくお願いします。