担い手支援担当者等研修会(経営管理実務コース)(福岡)
2023年9月28日~29日の二日間、標記の研修会がJA福岡中央会の主催で開催され、講師を務めました。
場所はJA福岡教育センターで、JA7名、県普及センターから10名の参加がありました。
今年で9年目となる研修会ですが、最近はJAよりも普及センターの参加者が多く、意外な広がりを見せています。
今年は、最後に「コミュニケーションスキル」を入れてみました。
【研修内容】
1.支援マインド
2.農業経営支援の実務
3.経営分析演習
4.農業経営管理支援の事業戦略
5.事業と生活の計画
6.コミュニケーションスキル
JA職員と普及員では、全般的にJA職員の方が評価が厳しかったのですが、「4.農業経営管理支援の事業戦略」と「5.事業と生活の計画」ではJA職員の方が評価は高かったようです。やはり立場によって視点は違うのでしょうね。
いずれにしても、高評価を頂いたと理解し、今後の励みにしたいと思います。
【研修会の内容について】
・この様な研修機会を頂き、本当にありがとうございました。農家・組合員の対応だけでなく、人との接し方が非常に重要であるということが最後に分かりました。また、普及所の方々と同じ研修を受けれたことは大変刺激になりました。事務局の水谷さんは骨を折られたと思いますが、ほとんどの方はすごく有意義な時間を過ごされたと思います。強く感謝いたします。
・経営のことはわからなかったんですけど、この研修を受けて、受ける前よりも知識が増えました。
・自分の今後の農家への対応が変わる研修でした(良い意味で)。
・現場対応の心構えを分かりやすく学べました。
・実際の生産者の決算書をもとに分析させてもらえてよかったです。
・経営分析は難しいと思いますが、組合員の目標の手助けを行う。
・一日目のグループワークが思ったより良かった。コミュニケーションスキルは、渉外で受けた研修と同じ内容でした。
・コミュニケーションスキルについて再確認できた。経営を難しく考えていると感じた。年次間差や他の方との比較を通じて、現状把握、仮説を見つけていきたい。
・経営分析についてこれまで非常に難しく考えており、思う様に経営支援ができていないと感じていましたが、研修冒頭の「支援マインド」にある通り、過剰に構えずに今日の内容を生かした支援を、早速実施していきたいと思います。
・コミュニケーションについて何気なく農家と話してきましたが、傾聴とオープンクエスチョンを意識して対話をしていきたいです。
・支援マインドやコミュニケーションスキルが特に良かったです。経営分析の前にどのような姿勢で、どのように進めると農家が話ししてくれるか、効果があるのか勉強になりました。
・良かったところ(学んだところ)、支援業務の主体は支援先にあること、支援業務の心構え、コミュニケーションの意識(コーチングの重要性)、分析よりも経営を考えさせることを意識した会話。
・新規就農または、参入者が増えてきているが、社会情勢により農業界のハードルが高くなっている。
・ある程度の計画を一緒に建てて支援を行いたいが、難しい(イニシャルコスト、金額的に)。助言やヒントがあればぜひご教授ください。
・本研修で得られたもので一番大きかったのは、経営支援に対して感じていたハードルや不安が軽くなったことです。技術や知識的な部分を研修で学ばせてもらったり、助けてもらうことは多々ありましたが、メンタル的な部分でとても助けられたことはなかったので、大変有意義でした。今後の業務にも活かせそうです。ありがとうございました。
・経営分析について難しく考えすぎていたが、農家の主体性を引き出すことが最重要ときいて、今後経営相談にチャレンジしたいと思う。
・今行っている、内容で良いことが解った。支援者は提案しすぎず、農家が考えることが大切。とわかたっところ。
・経営対応は個人の性格・人格が要因と思っていました。コミュニケーションにもスキルがあること、それを習得できたことが良かったです。
・「知識を持たなければ」「何か最良の提案をしなければ」にとらわれていました。これからは農家と共に農家が答えを出せる支援を行いたいです。
・「農家の考えや思いを尊重し、農家を信じる」という支援マインドを知るきっかけになった。今まで何か農家に対して提案しなければいけないと考えていたが、今後は農家の経営に対する将来の考えを引き出し、その実現に向け支援を行いたい。
【農家の経営課題】
・一番大事なことは、決算(経営成績)をごまかさずにやること。その結果に目を背けないこと。
・コストの上昇
・費用が年々高くなっているが、販売(収入)が費用の上昇分をほど上がっていないことが課題と考えます。
・機械の過剰購入
・働いても、もうからない、食べていけない。考えないと儲からない。考えても儲からない。
・雇用の費用。時期別の作業時間が異なることによる安定的な労働力確保が難しいところ。
・どんぶり勘定で、現状把握ができていない人が多いこと。
・経営上の課題が具体的に何なのかが自分ではっきりしていない農家がいる。農家自身が自分の営農を振り返るような対話を心掛けたい。
・売上(収益)の意識が強く、所得(利益)への関心が薄い。
・長期的な目標を考えていない人が多いように感じる。その年でよかった悪かったで終わってしまう。
・会計のうち、家計費と事業が混ざっている。目的(経営理念)がない。KGIに対するKPIを文字に(整理)表していない。「何を」「いつ」「どのように」
・そもそも数字的な所をふくめた現状を本人が解っていない。
・資材の高騰などで設備投資ができない。
・第一が農家の申告内容が実態とかけ離れている(売上・経費)。
・所内や関係機関の意識(優先順位)が低い。
・親から経営を継承したばかりで、経営者として自信がないよいに感じる。まだ親も作業をしているため、なかなか自分の考えや思いを自分の経営に反映させることができていないと感じる。
【組織の課題】
・部署間の連携とそれに伴う個人情報の強固な取り扱い。研修で言われたとおり、データを生かす高尾Tが大事だと思います。
・専門知識の向上。
・記帳代行などの情報を有効に活用する方法の検討が必要と思います。現場担当者の業務整理をし、動きやすい環境づくりが必要と考えます。
・当JAでは経営分析ができる人材は、200名中、2名程度と非常に少ない。必要性の優先順位が低いからだと思われる。
・若手が増え、経営のスペシャリストが少ないところ。
・経験の浅い職員が経営支援事務にあたり、難しく感じて対応しているところ。
・普及員経験5年未満の職員が非常に多く、経営支援業務に携わった経験のない職員が多い。
・経営は経営担当者が・・・の様に分けてしまいがちなので、農家に接する機会が多い栽培担当が経営を担うような組織体制になればいけないと思います。
・数値目的(目標)が先走り、支援先との関係性(指数)が意識されていない。
・縦割りが良くも悪くもはっきりしているので、経営支援を全員でできるようにする。
・ターゲットを明確に、情報収集(比較対象)のデータを整理できていない。
・JAとタッグを組んで進めるとスムーズにいくが、JAに余力がなく忙しすぎる。青い色申告データが税務用のため実態からかけ離れている。
・意識の向上。どうしても、すぐに効果・成果がでないので、後回しにしている。
・経営支援は答えがないので皆こわがっている。
・農家のニーズ(経営支援をして欲しい)に対して、支援をしていないのではなく、組織の目標達成(1年間で●●件の経営対策をするなど)のために業務を行っていると感じる時がある。
今回は9年目の福岡県での研修会でしたが、コミュニケーションスキルは初めての内容でどう受け入れられるかが心配でしたが、一定の評価を得られて安堵しています。毎年極僅かですが、福岡県の農業経営支援を担う人勢育成に一役買えていることを光栄に思います。
最後に、事務局を務めていただいた水谷様、大変お世話になりました。スムーズに研修会ができたのも水谷さんのおかげだと思います。ありがとうございました。