農家経営分析診断・コンサル担当者研修会(長崎)

平成29年7月11~12日の2日間に長崎県のJAビルで標記の研修会が開催されました。

この研修会は今年度初めて企画されたもので、延滞した購買未収金の借り替え時の経営改善計画が適正なものかを確認し作成できる職員を育成することを目的とした基礎研修であり、営農担当者だけではなく融資担当者を対象にしました。

出席者は、信用基金基金協会3名と長崎県振興局11名を含めた36名でした。

【研修内容】
1.負債整理と経営改善計画の概要
2.農業収支のポイント
3.家計収支のポイント
4.計画策定手順とヒアリング

 

【アンケート結果】
〇全体
(大変良かった54.5%、良かった42.4%、普通3%、いまいち0%、悪かった0%)
1.負債整理と経営改善計画の概要
(大変良かった54.2%、良かった40%、普通5.7%、いまいち0%、悪かった0%)
2.農業収支のポイント
(大変良かった45.7%、良かった42.8%、普通11.4%、いまいち0%、悪かった0%)
3.家計収支のポイント
(大変良かった45.7%、良かった48.5%、普通2.8%、いまいち2.8%、悪かった0%)
4.計画策定手順とヒアリング
(大変良かった58.5%、良かった38.2%、普通2.9%、いまいち0%、悪かった0%)

【研修会の感想】
・2日目のグループディスカッションは色々な意見を聞くことができ、良かった。また、決算書等の見方や、計画書等の見方等も勉強になった。
・負債整理と経営改善計画の作成にあたっては、県・JA(指導員、金融担当者)担当者がよく検討し、計画を作成すること。また、農家の方に理解してもらい一緒になって情報の共有を図り、継続的な支援が大切だと思った。
・人とのコミュニケーションの重要性が良く分かった。
・農業経営改善計画や確定申告書の見方について、経営が悪い農家の経営分析ではどこの箇所をみれば良いのか。また、それに対しての改善策などの詳しい解説、実例が知りたい。
・話が分かりやすく、楽しく2日間の研修を終えることができた。
・グループワークが良かった。
・講義時間が1時間を越えると集中力がきれてしまうので検討してほしい。
・計算のところでいきなり実習に入るため分からないところがあった。
・初めての研修会参加だったが、農業収支の見方(決算書)が分かりやすくて良かった。グループでの話しも他のJAのことが聞けて参考になった。
・グループミーティングは苦手と思っていたが、色々な立場の人の話を伺うことができてとても身になったと思う。
・大門さんの実例を用いた広義、演習が良かった。
・経営コンサルということで担当が違う部署にいるので知らないことが多かったが、今回の研修で見るべきところなど学ぶことができた。
・ヒアリングや具体的な方法で演習できたのが良かった。
・家計こそが大事であることを強く意識させてもらい良かった。最後の質問スキルの部分がとても参考になったので実際の現場で活かしていきたい。演習の時間が短い設問があった。
・家計収支を加味した資金計画の作成など実務的で大変参考になった。
・農家の経営改善について非常に参考になった。
・話し合いは他の意見を聞けてとても良かったが、時間が短かったような気がした。
・農家は栽培するだけでなく、1人の経営者ということを感じ、経営面での支援も大切だと思った。
・グループによる発表や考えることで居眠りしなくて良かった。
・家計収支の考え方について、教育費の増加など複数のポイントを分かりやすく指導いただいた点が大変良かった。
・となりの人やグループでの意見交換をすることで、自分では気が付かなかった意見などを聴けて良かった。
・演習を交えて進めていったので、非常に理解しやすかった。すぐに業務に活かせるかはわからないが、思い出して生かしていきたいと思う。
・ところどころにグループワークを設けており、学んだ内容をすぐに実践できることが良かった。もう少し話すスピードがゆっくりであればなお良かったと思う。
・他のJAばかりでなく、振興局とも触れ合う機会があって情報収集ができ良かった。自分の業務遂行で即戦力になるか不明だが活かしていきたい。
・グループワークでしたことで、意見交換ができ、他の人との共有ができた。演習問題を行ったことで内容を理解しやすかった。

【業務課題】
・現在、農家の経営が悪くなってから支所等に相談がくるので、その前から金融・営農・畜産部門が連携をとって経営改善を行っていくのが重要と考えます。
・農家との信頼関係をいかにするかが大切。JA外債務などの情報がなく、支払い計画が不明なところがあり、困ったことがあった。
・部署間の連携が取れていないこと。
・営農部門、普及所、JA金融部門の三位一体となった取組実践が必要。まずは情報の共有化が緊急の課題と思う。記帳代行の実用性を認識してもらい、そのための情報提供が正確に行える体制づくりを構築することが重要。
・農家の管理方法をどうするのか。経営改善を目指すために農家に関わることになるが、どこまで深く関われば良いのか。また、各関係機関の利害の調整が必要。
・改善計画を立てる上では農家から質問されて答えられなかったら話にならないから、知識の習得が大事。
・他の団体との連携もだが、内部にも問題がある。
・農家組合員に接する時間が減り、本音を聞き出せない状況である。指導員として各農家の販売高まではわかるが、決算書(申告書)まで見せてもらえる信頼関係に至っていない。
・市、県、JAの連携を十分に図っていく必要がある。書きにくい内容だが、JA営農と金融とで話が通っていないことがあり、組織内での横の連携をもっと取るべきだと思う。
・営農、経済、金融の考え方の違い。
・経営改善計画が実際に実施された場合、計画どおりいくのかを想定しているのかどうか。書類を機械的に作成していないか、どこまで農家の実情に踏み込んでいるのか。
・負債整理、経営改善計画等に関われる人がいるのか。
・改善計画を普及所にまかせることがあるので、農家よりの計画になるよう意識したいと思う。
・鉛筆をなめる改善計画になっていることが多くある。また、結論として基金協会保証が取れればOKという面が多くある。
・内容的に話しにくいことでのすり合わせをもっと積極的に行うことが必要と感じた。
・通常の業務に追われ農家と触れる機会が少ないと思う。また各部の連携がとれていないと感じる。
・ある、肥育農家が100%預託牛でさらに再預託率も100%、繁殖の高騰で期末棚卸が黒字になるといった経営状況なのに、何故このサイクルを改善できないのか。畜産は畜産なりに、金融は金融なりに現状を認識しているにも関わらずこのまま!どうしたら、いいのか。どこに相談すればよいのか。JAの組織が理解できない。(畜産には「預託を減らしてください」と話をしたことはあります)

 

 

開業時からお世話になっている長崎県中さんですが、今回は今までと異なる目的を持った研修会でしたので少々不安でしたが、アンケートを見ると最低限の期待には応えられたのではないかと安堵しています。

あらためてですが、事務局を務めていただいた、宮﨑次長、松浦係長、福田様、多々お気遣いを頂き誠にありがとうございました。8月もどうぞよろしくお願いします。