農業経営管理支援事業にかかるゼミ研修会 全6回(岩手)

この研修は、農業経営管理支援事業を担う、JAの担当者向けの研修として企画しました。

事業を進めるには、その担当者に必要な「知識」やそれを実践できる「スキル」、そして主体的にかかわろうとする「マインド」の3つが最低必要になります。とくに「マインド」は「知識」や「スキル」を支える、最も重要なものです。農業経営管理支援事業は、JA事業としても歴史が浅くJA内での位置づけが弱いことや、その手法が明確に確立していないこと、それにもかかわらず農家視点に立って、深くその中に入り込むことが求められる事業であるため、JA職員の主体的な関わり方が殊更求められる業務と考えられます。

この研修はJA職員の「マインド」を育成することを第一に計画されました。そのためには、知識の伝達を重視する従来の研修ではなく、自ら考えて意見交換を行うゼミナール方式を採ることとしました。JA職員としての「マインド」をより深めていくことを期待しました。

以上のような研修目的から、農業経営管理支援業務だけを対象にして、その細部をいきなり検討対象とするよりは、少し距離を置いた視点からJAと農家とそこで働く職員全体を俯瞰して本質への考察を深めていくこととしました。

 
【全体のスケジュール】
6月6日:第一回 テーマ「どの様にすれば効果的に参加農家に記帳指導ができるか」
・Ⅰ.記帳指導に必要な農業簿記の基本を確認する
・Ⅱ.もっとも効果手的な記帳指導体制を考える
・参考(農業経営管理支援事業の基本)
7月4日:第二回 テーマ「どの様にすれば効果的な話し合いができるようになるか。経営不振農家との関わりを考えながら実演する」
・Ⅰ.話し合いの基本スキル
・Ⅱ.経営不振農家とどう関わるか
8月6日:第三回 テーマ「論理的な思考とは。分析思考の基礎を学ぶ」
・Ⅰ.論理的思考の基本
・Ⅱ.JAの農業経営管理支援事業の問題は何か
9月5日:第四回 テーマ「農業経営管理支援事業で行う経営支援とは」
・Ⅰ.JAの行う農家の経営支援の特徴
・Ⅱ.経営支援の進め方
10月3日:第五回 テーマ「農業経営管理支援事業で行う経営支援とは 2」
・Ⅰ.経営分析の実務
・Ⅱ.経営目標
11月7日:最終回 テーマ「分析帳票の検討・フィードバックの方法」
・Ⅰ.経営分析のフィードバック
・Ⅱ.経営分析のフィードバック

 

ゼミはグループ討議を中心として進めましたが、グループ討議自体に慣れていない受講生もいたことから、内容を考え実験的試みを含めながら進めました。
結果的に、「基礎」を反復することに時間が割かれ、「マインド」育成にあまり時間を割くことができなかったことが心残りです。

しかしながら様々な試みをゼミを通じてやったことは、当方にとっても大きな財産となりました。
今後の岩手の農業経営支援事業を支える人材がこの中から生まれてくれれば幸いです。